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インプラントでかかる歯周病「インプラント周囲炎」とは?

「インプラント治療を受けた人も歯周病になるって本当ですか?」という質問をよく受けます。

 

インプラント自体は人工物なので病気にはなりませんが、インプラントの周辺組織は「インプラント周囲炎」という病気にかかりやすく、インプラントを台無しにしてしまいます。

 

そこで今回は、インプラント周囲炎について詳しくご説明いたします。原因や予防法などもお伝えするので、インプラントを検討されている方はもちろん、インプラント治療を受けた方も、おさらいとして今一度読み、確認してみてください。

 

 

1.インプラント治療後にかかりやすい「インプラント周囲炎」

インプラントがインプラント周囲炎という病気にかかりやすいのは本当です。健康な歯が患う歯周病によく似た病気です。

 

1-1.歯周病とインプラント周囲炎の違いとは?

インプラントと天然歯

歯周病もインプラント周囲炎も、同じ原因菌でかかる病気です。細菌が感染し、炎症を起こして周辺組織が吸収されることも同じです。

 

ただし、歯周病の場合は初期症状で歯ぐきの腫れが生じるのに対し、インプラント周囲炎は腫れが生じにくいのが特徴です。インプラント周囲炎は自覚症状が少ないので、発見も遅くなります。

 

また、炎症が起きる場所についても、歯周病は歯ぐきのみなのに対し、インプラント周囲炎は重症化すると歯ぐきから骨にまで達します。

 

さらに違うのは、悪化するスピードです。インプラント周囲炎は一般的な歯周病よりも早く、歯周病の10〜20倍の速さで進行してしまいます。

 

  歯周病 インプラント周囲炎
痛み 生じる 生じにくい
歯ぐきの腫れ 生じる 生じにくい
歯ぐきからの出血 出血する 出血しにくい
炎症が起こる場所 歯ぐきのみ 歯ぐきと骨
症状の進行スピード 年に0.1〜0.2mm 年に1〜2mm
※痛みや腫れなど「生じにくい」と記載した症状には個人差があります。

 

1-2.インプラント周囲炎とインプラント周囲粘膜炎

 

インプラント周囲疾患には2つの段階があります。インプラント周囲粘膜炎インプラント周囲炎です。

 

インプラント周囲粘膜炎はインプラント周囲炎の前段階で、インプラントとその周辺に炎症が起こります。

 

見た目には分かりづらく痛みなどもほとんどないため、多くの人は気づきません。また、この段階ではグラつきもありません。

 

一方、インプラント周囲炎は、炎症がインプラントの周辺組織から骨にまで及び、インプラントを支える顎の骨が侵されます

 

細菌感染が骨にまで達すると骨が吸収されてなくなり、支えるための土台がなくなったせいでグラつきも出てきます

 

重症化するとインプラントが露出して、ひどい場合はインプラントが抜け落ちてしまうのです

 

 

2.インプラント周囲炎の症状

インプラント周囲炎の痛み

上記でご説明したように、インプラント周囲炎の症状は歯周病とよく似ていますが、まとめると以下のようになります。また、下に行くほど症状は悪化します。

 

  • ・痛み
  • ・歯ぐきが赤く腫れる
  • ・出血
  • ・インプラントと歯ぐきの間の溝が深くなる
  • ・膿が出る
  • ・インプラントがグラつく
  • ・インプラントが脱落する

 

 

3.インプラント周囲炎を放置するとどうなる?

危険

 

インプラント周囲炎をそのままにしてしまうと、症状はどんどん進行して大変なことになります。

 

3-1.ほかの健康な歯にも悪影響を及ぼす

 

インプラント周囲炎の原因である歯周病菌は感染する病気のため、健康な他の歯にも感染する可能性があります。

 

また、インプラントがインプラント周囲炎になると、かみ合わせのバランスが崩れて歯全体への余計な負担もかかり、ダメージを与えてしまいます。

 

3-2.体全体へも悪影響を及ぼす

 

歯周病菌は、肺や血管に入る心筋梗塞脳梗塞などの全身病を引き起こす可能性があります。また、歯周病菌は糖尿病の合併症ともいわれており、糖尿病の人は特に気をつけなければなりません。

 

 

4.インプラント周囲炎の治療法

歯科用の機器

 

非外科的療法(症状が軽度の場合)

インプラント周囲炎は、軽度であればクリーニングで細菌を除去したり、投薬によって沈静化したりすることが可能です。

 

機械的清掃
専用機器器具を用いて、インプラントの周辺や歯周ポケットにたまったプラークや歯石などを除去します。

 

殺菌療法
歯科専用の洗浄剤を使って歯周ポケットを洗い流します。機械的清掃と併用することが多いです。

 

抗菌療法
急性の炎症を抑えたい場合や、細菌が血中に入り込むのを防ぐために、抗生物質を用いて治療する方法です。具体的には一定期間服用する場合と、直接歯周ポケットに挿入する場合があります。

 

上記3つの方法に併せて、ブラッシング指導や必要であれば生活指導なども行います。

 

 

外科的療法(症状が重度の場合)

重症の場合は炎症している部分を切開して取り除く必要があります。

 

切除
歯ぐきを切開して汚れているインプラントの表面を清掃します。また、感染された周辺組織を切除します。場合によっては再生療法を併せて行うこともあります。

 

再生療法
メンブレンという医療用の膜を用いて顎の骨を再生させるGTR法や、歯肉などの周辺組織を移植する遊離歯肉移植・結合組織移植などがあります。

 

詳しく知りたい方は、お気軽に当院医師にご質問ください。

 

 

5.インプラント周囲炎を予防する方法

セルフケア

 

インプラントを長持ちさせ、健康な毎日を送るためには、インプラント周囲炎にかからないことが第一です。以下の方法で予防しましょう。

 

5-1.毎日のセルフケアをしっかりと行う

 

インプラント周囲炎の原因はプラークです。毎日の歯みがきを習慣づけることで、プラークを作らせないようにしましょう。

 

歯みがきのタイミングは毎食後と就寝前がベストです。出先などで歯みがきができない時は、携帯用の洗口液などでも代用できます。歯間ケアも忘れずに行いましょう。

 

5-2.定期的に歯科医院で検診を受ける

 

インプラント治療をした後は、3ヶ月から半年に一度定期的に検診を受けましょう

 

定期検診ではインプラントや口内の状態を診断する他、専用機器による徹底したクリーニング、除菌消毒、プラークや歯石の除去、ブラッシング指導などを行います。

 

セルフケアでは落としきれない部分までクリーニングできるので、しっかりと通うようにしましょう。

 

5-3.喫煙を控える

 

喫煙はインプラント周囲炎を引き起こす原因のひとつです。タバコに含まれるニコチン歯茎の血行を悪くするほか、骨粗鬆症を誘引し、インプラント周囲炎になりやすくします。
(参照:2017年慶應義塾大学医学部整形外科学教室「迷走神経とニコチンが骨粗鬆症を誘引するメカニズム」の研究発表)

 

5-4.生活習慣病を改善する

 

生活習慣病と歯周病の関係については世界的に研究が行われ、2005年には厚生労働省管轄の財団法人8020推進財団からも、「生活習慣病と歯周病の関係」が発表されています。

 

骨粗鬆症糖尿病をはじめ、心臓病高血圧のある方は、生活習慣病を治療・改善することで、インプラント周囲炎にかかるリスクを低下できるでしょう。

 

 

インプラント周囲炎の予防を徹底してインプラントを長持ちさせよう

 

インプラント周囲炎は一度かかると進行が速く、治療が困難な病気です。せっかく入れたインプラント。やり直しやインプラント周囲炎の治療にまた費用と時間をかけるのは避けたいですよね。今回ご紹介した方法を取り入れ、日頃から予防しましょう。

 

 

◆この記事のまとめ
1.インプラント周囲炎は歯周病と同じ歯周病菌が原因
2.インプラント周囲炎は歯周病よりも気づきにくく進行が速い
3.放置すると健康なほかの歯や全身にも悪影響を及ぼす
4.軽度の症状なら消毒や服用で治療できる
5.重症になると外科的な治療が必要な場合もある
6.予防するには定期検診やセルフケア、生活習慣病の改善が必要