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インプラントの仮歯が重要な3つの理由とすぐに人工歯を入れないワケ

インプラントの模型

インプラント治療ではほとんどの場合、手術をしてから最終的な被せものをするまでの間に仮歯を入れる期間があります。

現在の歯科治療では審美性を考慮するのが一般的ですので、歯がない時期の心配をする必要はありません。

ただ、どうしてわざわざ仮歯を入れなければならないのかなぜすぐに最終的な人工歯を入れないのかは疑問ですよね。

そこで、仮歯の重要性人工歯をすぐに装着しない理由について、解説していきます。

 

目次

1.インプラント治療中に仮歯を入れる3つの理由

3を指で示す女性

インプラント治療中に仮歯を入れる理由は、3つあります。

  • ・見た目を保つため
  • ・歯並びの歪みを防いでかみ合わせを維持するため
  • ・顎や歯ぐきの状態を安定させるため

では、それぞれについて詳しく説明していきましょう。

 

1-1.見た目を保つため

インプラント手術をしてから人工歯を入れるまでの一定期間は、人工歯を装着することができません。その間、何もしなければ歯が抜けた状態のようになってしまいますね。

特に前歯などの場合は恥ずかしいですし、空気が抜けて発音などもしにくくなります。

大人が急に1本歯がなくなっていたら、かなり目立ちますよね。しかし、一時的に仮歯を入れておけば見た目の美しさを保持できるのです。

 

1-2. 歯並びの歪みを防いでかみ合わせを維持するため

歯がない状態が続くと、隙間を埋めようとしてほかの歯が少しずつ動いてしまいます

そう、歯は動くのです。矯正治療などはこの歯が動く原理を利用します。

 

インプラント手術から人工歯を装着するまでには、約3〜6ヶ月程度かかります。

歯が動くスピードは、通常1ヶ月で約1mm弱。数ヶ月歯がない状態にしていたら、かみ合わせが変わってしまいます

すると、インプラントを設計した当時とズレが生じ、予測した歯並びにならない可能性があります。

仮歯はそうした事態を防ぐための重要な働きをしてくれるのです。

 

1-3.顎や歯ぐきの状態を安定させるため

仮歯は最終的な人工歯の作成に役立ちます。顎骨や歯ぐきの状態に応じて仮歯の形を調整し、最終的な人工歯の形状を決めることができるのです。

また、人によっては、インプラントを入れる場所の顎骨や歯ぐきが圧迫されて変形していることがあります。

そういった場合、インプラント体を入れると同時に歯ぐきを元の状態に戻し、見た目を良くするために、仮歯の形状を徐々に調整して顎骨や歯ぐきの状態を安定させるという治療法を取ることがあります。

仮歯はただの代替品という目的の他に、積極的にお口の状態をよくすることにも用いられるのです。

 

2.仮歯を入れるタイミング

考える若い女性

「仮歯の重要性はわかった。でも、いつ、どのくらいの間入れるの?」という疑問を持つ方もいると思います。

仮歯を入れるタイミングや入れている期間は、一般的な治療の場合は以下のとおりです。

  • 仮歯を入れるタイミング
  • →インプラント体を入れた傷口の治癒後
  • 入れている期間→約3〜6ヶ月

 

インプラント体を骨に埋め込んだ後、インプラント体と骨とがしっかりと固定するまでには時間がかかります。固定しきらないうちに人工歯で噛んで圧をかけてしまうと、インプラントがグラつく原因になります。そのため仮歯を入れて経過を見るのです。

インプラントを埋入した後は縫合・抜糸があり、抜糸までは約1週間です。抜糸して傷口が治癒した後、仮歯を入れることになります。審美的な理由から、前歯は比較的早い段階で仮歯を入れます奥歯の場合はその方の状態により、入れないこともあります

また、以下のような要因で、期間やタイミングが異なる場合があります。

  • ・顎骨の量や質
  • ・造骨や骨再生をする場合
  • ・治療部位
  • ・治療方法

 

個人のお口の状態によって異なるので、詳しくは担当医に確認してみてください。

 

3.仮歯の材質は?

最終的な人工歯はセラミックなどが使われますが、仮歯の材質は主にプラスチックです。

色は白なので、見てもほかの歯とほとんど区別がつきません

ただし、あくまでも仮の歯なので、人工歯と比べると耐久性は劣ります。また、通院時にインプラント体と骨との固定具合を調べるために仮歯を外すので、わざと外れやすくなっています

 

4.手術当日すぐに仮歯が入る即日負荷インプラントもある

インプラントの治療法には、手術当日すぐに仮歯まで入れることのできる「即日負荷インプラント」があります。

ただし、この治療法は以下のような条件を満たすことが必要となっているため、希望する方は事前に担当医に相談してみましょう。

  • ・顎骨の量や質が十分にある
  • ・かみ合わせがしっかりとしている
  • ・造骨や骨再生の必要がない
  • ・虫歯や歯周病がない

 

5.仮歯を入れているときの注意点

手でバツを作る医師

仮歯を入れている時は、以下の4点に注意してください。

  • ・くっつきやすいものや硬い食べ物は控える
  • ・外れたり欠けたりしたら放置しない
  • ・仮歯の状態で治療を中断しない
  • ・仮歯でもしっかりと歯磨きする

 

ひとつずつ、具体的に説明していきますね。

 

5-1.くっつきやすいものや硬い食べ物は控える

歯にくっつきやすい食べ物や硬すぎるものを食べると、仮歯がポロッと取れてしまうことがあります

仮歯中は以下の食べ物を控えるようにしましょう。

  • ・キャラメル
  • ・ヌガー
  • ・ガム
  • ・グミ
  • ・スルメイカ
  • ・堅焼きのせんべい
  • ・硬めのフランスパン

 

5-2.外れたり欠けたりしたら放置しない

仮歯は治療途中で調整しやすいように、わざと外れやすく作ってあります。また、プラスチックや樹脂製なのですぐに欠けたりもします。

仮歯が外れたり欠けたりしたら、すぐに担当医に連絡しましょう。

外れたり欠けたりしたまま放置しておくと、歯が動いてしまいかみ合わせがズレてしまいます。場合によっては細菌が入り込んでしまうこともあるので注意してください。

 

5-3.仮歯の状態で治療を中断しない

仮歯の状態のままでインプラント治療を中断すると、以下のような弊害があります。

  • ・プラスチックがすり減ってかみ合わせが変化してしまう
  • ・仮歯が着色汚れによって変色してしまう
  • ・プラスチックは臭いを吸収しやすいため口臭の原因となる

 

途中で中断してしまうと治療計画が崩れてしまい、最悪の場合一からやり直しということも考えられます。

すると、さらに時間も費用もかかってしまうのでかなりの痛手ですよね。

仮歯はあくまでも一時的なもの。もし、途中で中断しなければならない事情ができた時は、担当医に相談しましょう。

 

5-4.仮歯でもしっかりと歯磨きする

仮歯といえど、汚れはしっかりと落としましょう。仮歯自体は虫歯や歯周病にはなりませんが、仮歯を入れている周辺組織には汚れや細菌がたまります

お口の中に虫歯や歯周病があると、後々インプラント周囲炎になってしまうリスクが高まります。歯ぐきやほかの歯を守るためにも、毎日の歯磨き時には仮歯にもしっかりと歯ブラシをあてましょう。

▶インプラントでかかる歯周病「インプラント周囲炎」とは?

 

仮歯やインプラント治療にとって重要なもの

仮歯とわからない白い歯

仮歯は、人工歯を入れるまでの見た目を損なわないために必要なものですが、インプラントを成功させるためにもとても重要です。

仮歯を入れている最中も、インプラント治療の一環。もし分からないことがあったら、何でもお気軽にご質問くださいね。

 

◆この記事のまとめ
1.仮歯を入れるのは見た目を保つため
2.歯並びの歪みを防いでかみ合わせを維持するため
3.顎や歯ぐきの状態を安定させるため
4.仮歯を入れるのは縫合した傷口が治癒した後
5.入れている期間は約3〜6ヶ月
6.材質はプラスチックで耐久性はあまりない
7.調整しやすいようにわざと外れやすくできている
8.仮歯が外れたり欠損したらすぐに連絡する
9.仮歯のまま治療を中断しない