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インプラントが原因で蓄膿症に!? インプラント治療と副鼻腔炎との関係

鼻や息の臭いが気になる女性

インプラント治療は極めて成功率の高い治療です。しかし、完全に完璧というわけではありません。毎年ごく少数の失敗例の報告もあります。

副鼻腔炎、いわゆる蓄膿症もそのひとつです。副鼻腔炎は鼻の病気なので、なぜインプラントが関係あるのかと不思議ですよね。

ここでは、インプラントが原因で副鼻腔炎になる理由や、副鼻腔炎を防げる治療法などをご紹介します。

 

1.副鼻腔炎とは

上顎洞の図

副鼻腔炎とは、昔から蓄膿症と呼ばれている病気です。

上あごのすぐ上には、鼻から目の下まで広がっている上顎洞(じょうがくどう)という空洞のような空間があります。そこに細菌が入って炎症が起き、膿がたまることを、副鼻腔炎といいます。

 

1-1.副鼻腔炎の症状

副鼻腔炎の症状は、以下のものです。

  • ・目の下の頬を押すと痛い
  • ・鼻近辺から悪臭においがする
  • ・息が臭い
  • ・頭痛がする
  • ・集中力が落ちる

 

鼻の近くの空洞の中に膿が溜まっているわけですから、その臭いもかなり強烈です。症状が悪化すると本人はその臭さから食事ができなくなり、周囲の人にも臭いが分かってしまうほどです。

また、頻繁に顔や頭が痛くなるので、仕事や家事などの作業にも集中できなくなります

 

2.インプラント治療でなぜ副鼻腔炎になるのか

訝しむ男性

インプラント治療で副鼻腔炎になる理由は、上顎洞の底にあるシュナイダー膜という薄い膜を破って細菌感染が起きてしまうからです。

シュナイダー膜は約1mm以下という薄さで、上顎洞が下がっていると、インプラントを入れる際に傷をつけてしまう可能性があります。

ほんのすこし掠ったくらいなら放っておいても自然に治りますが、ドリルやインプラントが突き抜けてしまった場合には副鼻腔炎になるリスクが高まります

インプラント治療で副鼻腔炎になるのは、以下のようなケースです。

  • ・治療中に副鼻腔炎になる
  • ・治療後に副鼻腔炎になる
  • ・治療をきっかけに他の歯が病変して副鼻腔炎になる

 

ひとつずつ、詳しく説明していきますね。

 

2-1.治療中に副鼻腔炎になる

インプラントを上あごに入れる際、顎骨の厚みが足りないとインプラントが上顎洞に飛び出てしまいます

そのため、骨の厚みや高さが足りない場合には、骨を増やす治療をします。具体的にはシュナイダー膜を少し持ち上げ、できた空洞に人工の補填材を入れて骨を増やすのですが、その造骨作業をしているときインプラント埋入時シュナイダー膜を突き破ってしまうことがあります。

ただし、一般的に歯科医師はそのようなリスクを十分に把握しているため、術前にはCT検査をして立体的に骨量を調べ、手術の際には特に注意を払っています。

シュナイダー膜を突き破ってしまう医師は、残念ながら知識や検査不足といえるでしょう。

 

2-2.治療後に副鼻腔炎になる

治療後に副鼻腔炎になるケースは、全国で時々報告されています。考えられるのは、治療中にドリルなどでシュナイダー膜を突き破ってしまい、時間が経ってから細菌感染が起こった場合です。

細菌感染は個人の免疫力などが影響するため、一律に何時間たったらどういう結果になるとはいえません。

 

2-3.治療をきっかけに他の歯が病変して副鼻腔炎になる

治療をきっかけに、というのは、インプラント治療をした場所とは別の場所の歯などが悪くなり、副鼻腔に悪影響を及ぼすケースです。

インプラント治療をしてから数年経って虫歯や歯周病ができ、悪化すると細菌が上あごから上顎洞に入ってしまう場合があります。

インプラント治療後はインプラント周囲炎にならないように口内を清潔に保つ必要がありますが、他にも様々なリスクにつながるため、毎日のケア定期メンテナンスはとても重要です。

 

3.インプラント治療が原因で副鼻腔炎になったときの対処法

歯科医院の診察台

もしも副鼻腔炎になって、インプラント治療が関係していると分かっている場合には、歯科医院を受診しましょう。

治療としては、以下のようなことをします。

  • ・抗生物質を服用して様子を見る
  • ・上顎洞を消毒する

 

いずれも、耳鼻科でも行われる治療法です。大抵はどちらかで改善されますが、膿が溜まっている場合には内視鏡下鼻内手術といって、上顎洞を広げて膿を出す治療をすることもあります。

また、インプラントが突き抜けてしまっている場合には、もちろんインプラントのやり直しも必要です。

 

4.副鼻腔炎を防ぐための4つの治療法

指で4を示す女性

副鼻腔炎を起こさないためには、骨量とインプラントの長さを十分に考慮することですが、副鼻腔炎を防ぐには、骨を増やしたり上顎洞を傷つけたりしない以下のような4つの方法が考えられます。

  • ・ソケットリフト法
  • ・サイナスリフト法
  • ・傾斜埋入法
  • ・オペレーションガイド

 

4-1.ソケットリフト法

顎骨が5〜10mmくらいあり、インプラントを埋入する部分だけが足りない場合に行う治療です。

上顎洞の底部分的に持ち上げて、人工の補填材を入れます。骨が安定するまで4〜6ヶ月程度待ってから、インプラントを埋入します。

 

4-2.サイナスリフト法

顎骨が全体的に薄く、5mm以下の場合に行います。

上顎洞の底全体を持ち上げて、人工の補填材を入れます。骨が安定するまでは半年ほどかかります。

 

4-3.傾斜埋入法

インプラントを斜めに傾けて埋入する方法です。

以前は垂直に埋入する方法だけでしたが、技術の進歩によって、最近では斜めに埋入できるインプラントが開発されています。

ただし、埋入角度や位置の設計が大変むずかしいため、高度な技術を要し、顎骨全体が薄い場合には適用できません

 

4-4.オペレーションガイド

オペレーションガイドとは、ドリルを入れる時に使う補助する道具です。

その人専用のオペレーションガイドを作り、手術時はドリルがガイドの位置や角度、深さ以外に進まないようにするものです。

オペレーションガイドを利用すれば、インプラントが上顎洞に突き抜けるようなことはありません。

 

5.インプラント治療で失敗しないためには

失敗しない方法を考える女性

せっかくインプラントを入れるのですから、後でトラブルなど困ったことにならないようにしたいものですよね。

インプラント治療で失敗しないためには、最初の医師選びや歯科医院選びがとても重要です。

医師・歯科医院選びのポイントをまとめてみました。

  • ・CT検査の設備がある
  • ・施術する場所や器具の洗浄や感染対策がしっかりとなされている
  • ・治療前の説明時に、リスクを含めた説明をわかりやすく説明する
  • ・インプラント専門医がいる
  • ・実績や経験が豊富である

 

▶当院の感染予防対策

 

インプラントで副鼻腔炎になったらすぐに対応を!

歯科医院を受信する青年

副鼻腔炎になると、まずは頬や顔の半分だけ痛くなったり頭痛が頻繁に起こったりします。もしも異変に気づいたら、すぐに歯科医院や耳鼻科を受診しましょう。

インプラントが原因なら、レントゲンを撮れば分かるはずです。できるだけ早めに対応することをおすすめします。

 

◆この記事のまとめ
1.上顎洞が細菌感染すると副鼻腔炎になる
2.上顎洞は顎骨のすぐ上にある
3.原因はインプラント埋入や造骨の際に貫通してしまうこと
4.治療後に虫歯や歯周病から細菌が入って起こることもある
5.副鼻腔炎になってしまった場合、消毒やインプラントの再治療を行う
6.副鼻腔炎を防ぐには、骨を増やす・斜めに埋入する・オペレーションガイドを利用するなどの方法がある
6.インプラント治療で失敗しないためには医師や歯科医院選びが重要