インプラント治療後に、腫れや頭痛、肩こりなどの不調が出て不安になられていませんか?
インプラント後に不調が出る場合、生理的な現象で自然に出るものと、明らかにトラブルが原因のものに分けられます。
生理的な現象の場合はしばらくすれば自然に治りますが、トラブルは放っておくと大変なことになるので、早急な対応が必要です。
そこで、ここではインプラント手術後と治療後に起きうる不調について、詳しく解説していきます。
インプラント治療後に不調が出た方や、他院で行ったインプラントでお困りの方は、どうぞ参考にしてみてください。
目次
1.インプラント手術直後の不調
まずはインプラント手術の直後に考えられる不調についてです。
- ・アザができた
- ・腫れてきた
- ・しびれがある
- ・出血がある
- ・しゃべりづらい
これらは一時的なものもありますが、場合によっては歯科医院で対応しなければならないようなものもあります。
ひとつずつ挙げて詳しく説明していきましょう。
1-1.アザができたときの原因
インプラント治療を行った側の頬などに黄色っぽいアザができるのは、手術による内出血で、インプラントを埋入する位置や角度によって起こる現象です。
1-1-1.対処法
- ・自然治癒に任せる
- ・症状がひどいときは医師に相談
ほとんどの場合、1〜2週間ほどで消えますので問題はありません。ただ、見た目が気になる方は、マスクをつけるなどして対処するのがおすすめです。
ただし、アザの状態によっては薬を処方することもあります。気になるようであれば歯科医師に相談しましょう。
血液をサラサラにする薬やサプリメントを飲んでいる方は、治療後に顔にアザが出ることがあります。治療前の問診や血液検査などを受け、服用している薬を必ず申し出てください。
1-2.腫れてきたときの原因
インプラント手術は、基本的に歯茎を切って骨を削るため、治療後は生体反応として腫れることが多く、問題ありません。
1-2-1.対処法
- ・枕を高めにして眠る
- ・熱があるなら冷やす
- ・柔らかい食事にする
もしも埋入した付近が腫れた場合は、眠る時に高めの枕にすると楽になります。
腫れもアザと同じで自然に引いていきますが、熱を持っている場合は濡れタオルで冷やすと緩和できます。ただし、冷やしすぎるとインプラントの固定が悪くなるので氷や保冷剤などを直に当てないようにしてください。
頬が腫れていると食事も摂りづらくなるので、あまり噛まずに飲み込めるうどんやおじや、スープなどがおすすめです。
1-3.しびれがあるときの原因
下顎にインプラントを入れた際、ごくまれに奥歯や唇にしびれが生じることがあります。
これは、神経を圧迫したり、傷つけたりしてしまったことが原因と考えられます。
1-3-1.対処法
- ・神経を修復する薬を出してもらう
- ・医師に連絡する
症状が軽い場合は薬を服用することで神経を修復することができますが、症状が重い場合はインプラントを取り除いて対処しなければなりません。
場合によっては再治療が必要な可能性もあるので、しびれがある場合は、まず歯科医師に相談してください。
1-4.出血があるときの原因
唾液に血が混ざるくらいの少量の出血が生じることがあります。
外科手術なので多少の出血はつきものですが、少量なら問題ありません。
1-4-1.対処法
- ・少量であれば自然治癒に任せる
- ・大量の場合は医師に連絡する
放っておけば自然に止まりますが、出血が気になる場合はガーゼなどを丸めて10分間くらい噛んで圧迫してください。
口をゆすぐときはそっと行いましょう。口内で水を激しく動かすと、刺激になってかさぶたが剥がれてしまいます。
長時間出血が止まらない場合や黒い塊のような血が出ている場合には、歯科医師に連絡してください。
上顎にインプラントを埋入した場合、鼻血がでることがあります。鼻血が出たら、歯科医院に連絡して状況を説明して指示に従ってください。また、2〜3日は鼻を強くかむのを避けましょう。
1-5.しゃべりづらいときの原因と対処法
インプラント手術後にしゃべりづらい・発音しづらいというのは時々あることです。
インプラントを入れたことによってお口の中に変化が起こり、一時的にしゃべりづらくなったり発音しにくくなったりといったことがあります。
1-5-1.対処法
- ・慣れるまで待つ
- ・長引く場合は医師に相談
しゃべりづらさや発音のしづらさは、慣れてくれば感じなくなります。人によっては3ヶ月くらいかかることもありますが、いつまでも長く続くようであれば、かみ合わせの不調和が起こっている可能性が考えられます。
また、上部構造の形状に問題がある場合は調整の必要があるので、様子をみて歯科医師に相談してください。
2.インプラント治療後の不調
ここからは、手術からある程度の期間が経過したにもかかわらず、以下のような不調がある場合です。
- ・肩こりや頭痛、耳鳴りがある
- ・膿が出る
- ・インプラントがグラつく
インプラントを入れてから、どうも上記のような症状がある、以前はなかったのにインプラントにしてから不調があるという場合は、何らかのトラブルが発生している可能性があります。
2-1.肩こりや頭痛、めまい、耳鳴りがあるときの原因
上顎にインプラントを埋入した方で慢性的な肩こりや頭痛、めまいが出る場合は、上顎洞周辺の粘膜を傷つけてしまった可能性があります。
上顎洞とは上顎の上にある大きな空洞のことで、上顎との境目にある粘膜に傷が付き、そこから菌が入り込むと炎症を起こして頭痛などを引き起こします。
また、肩こりや耳鳴りがある場合は、インプラントのかみ合わせが合っていない可能性があります。
2-1-1.対処法
- ・抗生物質や抗炎症剤で改善
- ・再治療でかみ合わせの調整をする
- ・インプラントを除去することも
上顎洞周辺の粘膜の炎症が抗生物質や抗炎症剤で改善しなければ、インプラントを取り除かなければならないこともあります。
かみ合わせが合っていない場合は再治療の必要があります。保証期間内であれば無償に近い形で行えるはずですので相談してみましょう。
治療した歯科医院で問題ないと言われても、肩こりや耳鳴りが続く場合は、セカンドオピニオンの利用や他院で治療を受けることも視野に入れることをおすすめします。
2-2.膿が出るときの原因
インプラント治療後に膿が出るような場合は、以下のことが考えられます。
- ・インプラントと骨の間に細菌感染が起こっている
- ・インプラントの近くの古い治療跡に細菌感染が起こっている
- ・インプラント周囲炎になっている
治療跡とは、昔治療した銀歯や被せものなどのことです。治療跡は経年劣化するので、奥で細菌感染が起こっていることがあります。また、インプラント周囲炎とは、インプラントの周辺組織が歯周病になることを指します。
2-2-1.対処法
- ・なるべく早く歯科医を受信する
- ・うがいや歯磨きで口内の清潔を保つ
- ・刺激のある飲食物を避ける
膿が出ている原因は、診察してみないと分かりません。また、膿が直接みつからなくても、食べ物の味が変に感じるケースもあります。膿が食べ物の味に混ざっているためです。
膿が出ている場合には、すぐに歯科医院を受診しましょう。
放っておくと炎症がひどくなり、だんだんと痛みが強くなるだけでなく治療も大変になります。
2-3.インプラントがグラつくときの原因
インプラントがグラつくのは、以下の2つのケースが考えられます。
- ・インプラントの角度や位置が不適切
- ・インプラントに強い力が加わった
- ・手術後に頻繁に手や舌で触っていた
- ・喫煙による血行不良
- ・インプラント周囲炎になっている
2-3-1.対処法
- ・再治療をする
- ・インプラント周囲炎を治療する
インプラントが骨にうまく固定されていない場合は、再治療すればほとんどのケースで改善されます。ただし、血行不良などが原因の場合には固定が難しく、ブリッジや入れ歯に切り替えることを提案されることもあります。
インプラント周囲炎は、早期に治療しなければどんどん症状が悪化してしまうので、なるべく早く歯科医院を受診してください。
インプラントによる不調は歯科医師に相談しましょう
インプラント後の不調は、何らかのトラブルが起こっている可能性もあります。
今回チェックしてみて、もしも少しでも受診が必要なケースだと判断された場合は、早急に歯科医院に行くことをおすすめします。
当院では他院で行ったインプラント治療のリカバリーにも対応しています。インプラント治療後に不安や不満がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
- ◆この記事のまとめ
- 1.手術直後のアザや腫れ、出血は自然に治ることがほとんど
- 2.しびれは度合いによって薬で対応
- 3.患部からの出血や鼻血がひどい場合には医師に連絡
- 4頭痛やめまいがある場合は上顎洞が傷ついている可能性あり
- 5.慢性的な肩こりや耳鳴りがある場合はかみ合わせが合っていない可能性がある
- 6.膿が出る場合は細菌感染やインプラント周囲炎になっている可能性が高い