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血液サラサラにするワーファリンを飲んでいる人はインプラント可能?

ワーファリンを飲んでいてもインプラントはできる?

血液をサラサラにする薬を飲んでいる方はたくさんいます。

そのような方は、「自分はインプラント治療ができるのだろうか」と不安に思ってらっしゃるかもしれませんね。

今回は、血液をサラサラにする薬とインプラントの関係についてのお話しです。そういった類いの薬やサプリメントを飲んでいる方は、ぜひお読みくださいね。

 

昔はワーファリンの服用を中止していた

昔は服用を中止していたなんて驚き!

ワーファリンとは血栓を予防するための薬です。脳卒中脳梗塞、動脈硬化などがある方は、服用されていますね。

インプラント治療では外科手術が必要ですが、血液がサラサラだと出血が止まらなくなってしまうということで、昔はインプラントや抜歯の治療をする際にはワーファリンの服用を一時的に止めていました。

しかし、現在ではそれは逆に危険であるとして、どの病院や医療機関でも服用の一時中止は止めるようになっています。

なぜなら、抗血栓療法を飲むのを一時的にでもストップしてしまうと、脳梗塞を発症するリスクが3倍にもなるという報告があるからです。2010年に発行されたガイドライン(2015年に改訂されています)では、抗血栓治療薬の一時服用中止の危険性を明言しています。しかも、一度発症した血栓の病気は重篤になり予後も芳しくないことが多いということが分かっているのです。

”〜ワーファリン休薬した約1%に血栓塞栓症が生じたという報告があります。抗血小板薬(バイアスピリンなど)については、休薬すると脳梗塞発症のリスクが約3倍になるとの報告があります。血栓塞栓症は一度発症すれば病態は重篤で予後不良である場合が多いです。” (お口のテーマパーク8020より)

 

現在では服用しながらのインプラント治療が可能

今は服用していてもOKです

現在では、止血をしながらインプラント治療をすることが可能です。圧迫したり止血剤を使用したりしながら、細心の注意を払って手術を行います。

血液検査をしてPR-INR値というものが1.6〜3.5の間であれば抜歯が可能とされ、インプラントも抜歯に準じて同じと考えられています。

というのも、抗血栓治療薬を一時中断することは、出血しながら治療を行うよりも血栓の状態が悪化するリスクが高いと分かったからです。

厚生労働省の運営する「お口のテーマパーク8020」でも、次のように掲載しています。

日本循環器学会の抗凝固・抗血小板療法ガイドラインでは、「抜歯時には抗血栓薬の継続が望ましい」と明記されています8)。海外のガイドラインでは、PT-INRが2~4の治療域にあれば重篤な出血のリスクは非常に小さく、逆に血栓塞栓症リスクが増大するため、抗凝固薬は中止してはならないと述べられています。(お口のテーマパーク8020より)

 

インプラント治療ができる条件

ワーファリンを飲んでいる方がインプラント治療を受けられる条件としては、病状が安定していることに加えて数値的な評価が必要です。

事前に血液検査をして、数値を測ります。

 

1-1.PT-INRの値が2〜4であること

数値はINRの値で表され、日本循環器学会では「海外のガイドラインでは2〜4の治療域にあれば重篤なリスクの出血が少ない」と述べられています(お口のテーマパーク8020)。

また、日本の歯科の分野では「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン」が2010年に策定され、INR1.6〜3.5推奨値領域としています。

ただし、INR値は病気の種類食事、年齢によっても左右されやすいので、定期的な測定や内科医と連携をとっての綿密な管理が必要です。

 

1-2.高齢者の場合は1.6〜2.5

高齢者の方はINR値が高めだと脳出血などの出血性の合併症を起こしやすいため、目標治療域の上限が2.5とされています。

 

ビタミンKが関係すると聞いたことがあるけど?

納豆や青汁、クロレラ食品はNGのです

ワーファリンは、ワーファリン自体が血液を固める作用があるのではなく、肝臓でビタミンKを阻害することによって血液を固まりにくくします。

そのため、内科医からも指示があるとは思いますが、ワーファリンを飲んでいる方は、ビタミンKが含まれる納豆やクロレラ、青汁などをたくさん摂らないようにしましょう。

 

インプラント治療をする際に併用するとNGな薬は?

併用すると出血が止まらなくなります

以下の薬の組み合わせは、血液濃度が高くなるなど出血のリスクを高めるので併用には注意が必要です。

  • ・ワーファリンと抗菌薬(ペニシリン系、セフェム系)
  • ・ワーファリンと消炎鎮痛薬(アセトアミノフェン、メフェナム酸など)
  • ・ワーファリンと抗真菌薬(イトリゾール)

 

消炎鎮痛剤は頭痛などの時に飲む薬、抗真菌薬は口内のカンジダ症などに用いられます。

歯科医師は飲み合わせにも十分に気を配っていますが、他院でもらった飲み残しなどを一緒に飲んだりしないよう気をつけましょう。

また、どんなお薬でも併用する場合は歯科医師に相談すると安心です。

 

ワーファリンと似たような薬はある?

ワーファリン以外にもたくさん似た薬があります

血液をサラサラにする薬はワーファリンだけではありません。

似たような作用を持つ薬やジェネリック薬品などを下記にまとめてみました。

種類 商品名
抗凝固薬 ワーファリン
プラザキサ
イグザレルト
抗血小板薬 パナルジン
バイアスピリン
プレタール
エパデール
アンプラーグ
プラビックス
ドルナー生じにくい
冠拡張薬 ペルサンチン
血管拡張薬 オパルモン

もし、現在服用している薬がこの中にあれば、歯科医師に伝えましょう。

 

INRの検査はどこで受ける?

インプラントを希望する際に、先に内科医に相談すればその病院で血液検査をしてくれることもありますし、歯科医院で先に相談した場合には歯科医院で検査してくれることもあります。

いずれにせよ、血栓症の持病がある方がインプラント治療ができるかどうかは、血液を採ってPT-INR検査をしなければ分かりません

大学病院などでは大型の機械で検査をしますが、歯科医院で検査する場合は指先にちょっと差すだけの少量の血液で検査できる機械などがあります。

 

注意!自己判断で勝手に薬を止めないで

自己判断は危険です!

インプラント治療をするからと、ワーファリンなどの血液の流れを良くする薬を自己判断でやめてしまうのはとても危険です。

先述したように、一度血栓症を起こすと重篤になる率が高く、後遺症が残る恐れもあります。

現在では血液をサラサラにする薬の服用を継続したままインプラントの治療をするのが当たり前。勝手に薬を飲むのをストップしないようにしましょう。

 

ワーファリンを飲んでいてもインプラント治療ができる可能性は高い

ワーファリンやアスピリンなど、血液をサラサラにする薬を飲んでいても症状が落ち着いていればインプラント治療をできる確率は高いです。

もし服用中の方で「自分はどうなのかわからない」という方は、一度歯科医院で相談すると良いでしょう。

もしも不安や不明な点があったら、自分が納得できるまでとことん説明を求めてくださいね。

少しでも不安や猜疑心などがあると、それがストレスとなり当日に血圧などが上がって手術に影響してしまうことがあります。

安心・安全にインプラント治療を受けるためにも、何でも気軽に相談できる歯科医院を選ぶのも重要です。

 

◆この記事のまとめ
1.ガイドラインによりワーファリンの服用を止めずにインプラント治療をすることが定められている
2.インプラント治療ができるのはINR2〜4程度の値
3.高齢者は合併症のリスクが高いため上限が2.6
4. INR値は病気の種類や食事などに左右されるため定期的に測る事が重要
5.ワーファリン服用者はビタミンKを大量摂取しないようにする
6.ワーファリン以外にも似た薬がたくさんある
7.自己判断で服用を中断しないようにする