インプラントをしようと決めたら、被せものも事前に決めておくのがおすすめです。
とは言っても「どんな基準で?」「何がどういいのかわからない」「費用はどう違うの?」など様々な疑問がありますよね。
そこで、今回はインプラントの被せものの種類や費用の違いや、選び方のポイントなどをご紹介します。
目次
1.インプラントの被せものの種類
インプラントの被せものには、金属のものと非金属のもの、それから多くの歯を失った場合の3種類におおきくわけることができます。
被せものというと歯の上に何かを被せるというイメージがある方もいると思います。しかし、インプラントでいう被せものとは、人工歯の部分を指します。
1-1.金属
金属のものは、よく知られている銀と金のものがあります。
- ・銀→メタルボンド
- ・金→ゴールドクラウン
昔はこのメタルボンドかゴールドクラウンが一般的でした。
しかし、現在ではより自分の歯に近い材料の人工歯が好まれる傾向にあるため、需要は少なくなってきています。
1-2.非金属
非金属でもっとも有名なのがセラミックです。ただし、表面にだけセラミックを焼き付けたり他の材料と混ぜたりするなど様々な種類があります。
- ・ジルコニアセラミック
- ・オールセラミック
- ・ハイブリッドセラミック
後ほど別々に詳しくご紹介しますね。
1-3.多くの歯がなくなった場合
ほとんどの歯がなくなった場合の治療法というと入れ歯を思い浮かべる方が多いと思いますが、インプラントと入れ歯を組み合わせたオーバーデンチャー(ロケーターシステム、ロケーターインプラントともいう)というものがあります。
総入れ歯に抵抗がある、もっと使い勝手がいいものにしたいという方におすすめしたい治療法です。
2.各被せものの特徴と費用
では、上記でご紹介した被せものの具体的な特徴や費用について、詳しく説明していきましょう。
2-1.ジルコニアセラミック
ジルコニアの芯にセラミックを焼き付けた被せものです。
ジルコニアとは、アクセサリーに詳しい方ならピンとくるかもしれませんが、人工ダイヤモンドのことです。
- メリット
- ・変色しない
- ・艶がある
- ・インプラントの周りの自分の歯に限りなく合わせて作れる
- ・金属アレルギーの方も安心して使用できる
- ・内部がジルコニアのため耐久性が高い
- デメリット
- ・費用がやや高め
1本あたりの費用相場:9〜20万円程度
2-2.オールセラミック
オールセラミックとは、文字通り内部の芯も表面もすべてセラミックでできた被せもののことです。
とても美しいですが、瞬発的な衝撃には弱いという特徴があります。
- メリット
- ・変色しない
- ・艶がある
- ・インプラントの周りの自分の歯に限りなく合わせて作れる
- ・金属アレルギーの方も安心して使用できる
- デメリット
- ・瞬発的に大きな衝撃がかかると割れることがある
- ・費用がやや高め
1本あたりの費用相場:7〜17万円程度
2-3.ハイブリッドセラミック
セラミックとプラスチックレジンを混ぜた被せものです。
白い人工歯の中では比較的安価ですが、プラスチックが混ざっているため経年劣化による変色や耐久性が落ちる可能性があります。
- メリット
- ・変色しにくい
- ・インプラントの周りの自分の歯に限りなく合わせて作れる
- ・金属アレルギーの方も安心して使用できる
- ・オールセラミックより柔らかく柔軟性がある
- ・保険が一部適用できる
- デメリット
- ・経年劣化により艶がなくなる
- ・割れる可能性がある
1本あたりの費用相場:4〜12万円程度
2-4.メタルボンド
メタルボンドは金属の表面にセラミックを焼き付けた被せものです。
表面は白色ですが、芯に金属を使用している分、透明度などはやや劣ります。
- メリット
- ・ほとんど変色しない
- ・インプラントの周りの自分の歯に限りなく合わせて作れる
- ・耐久性が高い
- デメリット
- ・経年劣化により歯茎が変色することがある
- ・セラミックが割れることがある
- ・費用がやや高め
1本あたりの費用相場:5〜15万円程度
2-5.ゴールドクラウン
金をメインに複数の金属を混ぜたもの(金合金)の被せもので、いわゆる金歯と呼ばれるものです。
- メリット
- ・自分の歯と近い硬さを再現でき、歯に馴染みやすい
- ・金属が腐食することがない
- デメリット
- ・見た目がギラギラする
- ・費用がやや高め
1本あたりの費用相場:4〜15万円程度
2-6.オーバーデンチャー
数本(最小2本〜4本)のインプラントで入れ歯全体を支える治療法です。
従来の入れ歯のように取り外して洗うことができますが、使用中はしっかりと固定されるためズレたり外れたりすることがありません。
- メリット
- ・通常の入れ歯に比べて噛む力が落ちない
- ・ズレない・外れない
- ・着脱してお手入れできる
- ・なくなった歯全体をインプラントにするより費用を抑えられる
- ・手持ちの入れ歯を使えることがある
- ・見た目が良い
- デメリット
- ・着脱式なので自分でお手入れする手間がある
- ・マグネット式の場合はMRI検査時に注意が必要
総入れ歯を含めた費用相場:20〜35万円程度
オーバーデンチャー(ロケーター・インプラント)についてもっと詳しく知りたい方は、こちらも併せてお読みくださいね。
▶入れ歯の悩みを解消できるロケーターシステム・インプラントとは?
3.インプラントの被せものの選び方
被せものは、被せる部位と機能面を考慮する必要があります。
例えば、奥歯は噛む力は前歯よりも強いですが、見た目はそれほど気にしなくていいですし、前歯は見た目が重要ですが、すぐに割れたり変色してしまっては困るという具合です。
そんなことを考慮に入れつつ、部位別の被せものの選び方をご紹介しますね。
3-1.前歯におすすめの被せもの
前歯におすすめなのは以下の3つです。
- ・ジルコニア
- 耐久性に最も優れ、見た目も美しい
- ・オールセラミック
- 天然歯に最も近い透明感と美しさが自然
- ・ハイブリッドセラミック
- 白い人工歯のなかで最も費用を抑えられる
3-2.奥歯におすすめの被せもの
奥歯におすすめなのは、以下の4つです。ただし、見た目も重視という方は、その後の3つも検討すると良いでしょう。
- ▼咬み合わせが強い
- ・オールセラミック
- ・ジルコニア
- ・メタルボンド
- ・ゴールドクラウン
- ▼見た目も重視
- ・オールセラミック
- ・ジルコニア
- ・ハイブリッドセラミック
奥歯は咬み合わせの要となる重要な部位です。お口の状態などからも判断する必要がありますので、担当医とよく相談してくださいね。
3-3.長期的に考えることが重要
安い材料で費用を抑えるのも一つの方法ですが、安い材料の場合には以下のようなデメリットがあることも知っておきましょう。
- ・すぐに壊れる可能性が高い
- ・経年劣化によって変色する可能性が高い
壊れたり美しさが損なわれたりすることで、作り変えが必要になると、その時にまたお金と労力がかかってしまいます。
できれば良いものを長く使うという考えで選ぶことがおすすめです。
インプラントの被せものは総合的に判断しよう!
インプラントの被せものはたくさんの種類があり、それぞれの特徴にメリットとデメリットがあります。
機能を損なわずにどこまで審美性を追求するか、費用はどのくらいかけられるか、長期的なコスパは?など、総合的に考えるのがおすすめです。
また、インプラントの費用は検査・診断、手術費、その後の調整などが医療機関によって異なります。全体の総額を比較検討して慎重に決めましょう。
- ◆この記事のまとめ
- 1.被せものには金属と非金属のものがある
- 2.芯と表面の材料が組み合わせてあるものもある
- 3.材料によって強度や審美性が異なる
- 4.インプラントを入れる部位や費用で決めるのが良い
- 5.長期的な目で選ぶ