インプラントを検討する方にとって、できるだけ色々な情報を仕入れることは重要ですよね。治療する側としても、患者さんが安心して治療を受けられるように、詳しく情報提供したいと思っています。
ここでは、インプラントに関してよく質問される事柄をひとつにまとめました。
デメリットやリスクについても隠すことなく触れていますので、どうぞ検討材料にお使いください。
目次
Q.インプラントは誰でもできる?
インプラントの対象年齢は18歳以上で、上限はありません。
ただ、糖尿病や高血圧など全身疾患がある場合は、事前の検査や内科医と連絡を取り、インプラント治療ができるかどうか確認する必要があります。
Q.インプラントの費用相場ってどのくらい?
インプラント1本の費用相場は、だいたい30万円くらいです。
なかには安いインプラントもありますが、材料が粗悪だったり保証やアフターケアがなかったりする場合がありますのでご注意ください。
Q.インプラントの材料はなんですか?
インプラントは構造別に材料が異なります。
骨の中に埋め込む「インプラント体」の材料は、主にチタンです。チタンは溶けにくく、骨と馴染みやすいのが特徴で、金属アレルギーの心配もありません※。
歯茎の上に出る「歯」の部分のクラウンは、主にセラミックです。従来の銀歯などは経年劣化により溶け出して歯茎が黒ずんでしまうことがありましたが、セラミックはそのようなことはありません。色も自然な色味です。
※中にはチタンアレルギーの方もいます。心配な方は事前にパッチテストを行います。
Q.インプラントの治療にはどのくらいの期間がかかりますか?
骨が健康で量も十分ある場合は4ヶ月〜6ヶ月程度、骨の量が不足している場合には、7ヶ月〜1年程度です(あくまでも目安です)。
骨の状態は人によって様々です。インプラント体は骨の厚みや量が十分にないと埋められませんので、骨を増やす骨再生治療が必要になることがあります。
Q.インプラントの寿命はどれくらいですか?
インプラントの寿命は、きちんとケアすれば半永久的であると私は考えています。
生存率でいうと、5〜10年経っても9割の人が良好な状態を保っていると報告されています。
人によって口内の状態(虫歯や歯周病、歯茎下がりなど)が違うので、一概には言えませんが、インプラント自体はよほど大きな力を加えなければ、壊れにくい頑丈なものです。
Q.インプラント治療のリスクやデメリットを教えて!
インプラントのリスクやデメリットは以下のとおりです。
- ・外科手術が必要
- ・一般的な歯科治療より高額
- ・基本的に保険が適用されない
また、インプラント周囲炎にかかりやすいという特徴を持っています。
インプラント周囲炎はプラークが原因なので、治療後も毎日の歯磨きと半年に1回程度の定期メンテナンスが必要です。
Q.失敗することはありますか?
インプラントの手術には、事前の緻密な検査などの準備をして臨みます。
さらに、オペレーションガイドという手術用の補助器具を使えば、計画通りの通り道にしかドリルが進まないので神経や血管を傷つけることはありません。
治療後の失敗ということで言えば、インプラントが骨に結合しないなどのトラブルが考えられます。しかし、それも綿密な検査をすればある程度は予測できます。少しでもリスクがあれば患者様に相談し、より適切な方法をご提案いたします。
Q.歯周病でもインプラント治療はできますか?
インプラント治療前に歯周病がある方は、事前に治療をして改善する必要があります。
歯周病があると、インプラント治療がスムーズに行なえません。また、インプラント周囲炎は歯周病と同じ原因のものなので、最初からダメになると知りながら治療をすることになります。
歯周病にかかった歯は、溶けて骨がなくなっていることがあるので、インプラントを埋める近くの歯の場合には、造骨手術が必要になることがあります。
Q.どうして検査でCTを撮るのですか?
従来のレントゲン撮影では、平面写真しか撮ることができません。インプラントは骨に入れる角度や深さの確認などが必要となるため、多角的な状態の把握が必要なのです。
レントゲンでは分かりづらい骨の形なども、CTなら立体的に把握することができるので、CT撮影は必要不可欠と考えています。
Q.インプラントの手術は具体的にどんなことをするのですか?
一般的な手順は、歯茎を切開して骨を露出し、歯科用ドリルで穴を開けます。
インプラント体を埋入したら、歯茎を閉じて縫合し、仮歯をつけます。
骨の治癒を待って上部構造(人工歯冠)を接着して完了です。
ただし、手術に恐怖心のある方には、メスを使わないフラップレス手術(無切開無痛手術)もありますので、ご相談ください(すべての歯医者で行っているわけではありません)。
Q.手術後の腫れや痛みについて教えて下さい
外科手術をした後に生理的反応として痛みや腫れが出ることがあります。痛みや腫れは、だいたい2〜3日で収まります(個人差があります)。術後に処方される鎮痛剤と化膿止めは、なくなるまでしっかりと飲んでください。
また、痛みがひどい場合や鎮痛剤が効かない場合は、別の問題があるかもしれません。ただちに歯科医院にご連絡ください。
※当院では痛みや腫れのなるべく出ない治療法をご用意しています。
Q.インプラントを入れた後の注意点はありますか?
インプラント手術直後は、あまり噛まずに飲み込めるような食事にしてください。お粥やポタージュスープ、煮込みうどんなどがおすすめです。
また、以下のことにも注意してください。
- ・舌や手で患部を触らない
- ・手術した当日の入浴はシャワーのみ
- ・激しい運動をしない
- ・アルコールは控える
- ・タバコを吸わない
血流を活発にするようなことは、傷を治りにくくします。
また、タバコは骨とインプラントとの結合を妨げるので、吸わないようにしましょう。
Q.どうして定期検診が必要なのですか?
定期検診では以下のようなことをします。
- ・治療経過やインプラントの状態チェック
- ・虫歯菌や歯周病菌の計測
- ・専用機器でのクリーニング
- ・磨き残しのチェックと歯磨き指導
もし虫歯や歯周病ができたとしても、早期発見・早期治療ができます。
また、インプラント保証の使用は、定期検診に通っていることが条件です(どの歯科医院でも)。定期検診に通っていないと、もしもの時に保証が使えないので注意しましょう。
Q.インプラントでよくあるトラブルを教えて下さい
- ▼手術中のトラブル
- ・神経や血管を傷つける
- ・上顎を突き抜ける
- ▼治療後のトラブル
- ・インプラントがグラグラする
- ・インプラントが脱落する
インプラントの手術で起こるトラブルは、検査不足によるものがほとんどです。通常は神経や血管の位置や角度を詳しく調べるため、上記のようなトラブルは起こりにくいと考えています。
また、外科手術中に出血が止まらない可能性がある、病変や合併症の恐れがある方は、事前に内科医と連携するなどの対応をしています。
インプラントを入れてからのトラブルで多いのは、インプラント周囲炎です。
インプラント周囲炎になると、周辺組織(歯茎)や骨が溶けてしまい、インプラントがグラついたり脱落してしまうことがあります。
Q.インプラント治療の医院選びのポイントはありますか?
インプラント治療は、治療方針・料金設定・使うインプラントの種類などが、歯科医院によってすべて異なります。
良い歯科医院を選ぶなら、次のことをポイントとして押さえておきましょう。
- ・インプラントを専門とする医師がいるかどうか
- ・CT機器を導入しているか
- ・感染対策はなされているか
- ・何でも気軽に相談できそうか
どれも大切ですが、特におすすめしたいのは医師との相性です。どんなに腕の良い医師でも、何も聞けないような雰囲気では不安を持ったまま治療を受けることになります。
どんな些細なことにも、丁寧に分かるまで答えてくれるような先生のいるところを選びましょう。
インプラントの不安や疑問点があればお気軽にご相談ください
インプラント治療で大切なことは、インプラント治療の難しさについて熟慮している医師がいること、そのため日夜スキルアップや勉強に励んでいることです。もちろん、経験や深い洞察力なども必要です。
同時に、患者さんを不安にさせるようでは、良い治療とは言えないと思っています。不安や疑問があれば、何でも気軽にお聞きください。モヤモヤのないクリアな気持ちで、安心して治療を受けてくださいね。
- ◆この記事のまとめ
- 1.インプラントの対象年齢は18歳以上
- 2.全身疾患がある方はご相談を
- 3.費用相場は1本につき30万円
- 4.治療期間は状態による
- 5.インプラントを長くもたせるには毎日の歯磨きと定期検診が必要
- 6.歯周病や虫歯は事前に治療する
- 7.CT検査で骨の状態や神経・血管の位置まで正確に把握する
- 8.痛みや腫れの少ない治療法がある
- 9.インプラント治療は歯科医院によって内容がけっこう異なる