インプラントには長さの種類があるということをご存知ですか?
ショートインプラントは、通常のインプラントよりも短いインプラントのことです。
通常のインプラントができない方でも、ショートインプラントを選択することで、インプラント治療が可能になる場合があります。
ここでは、ショートインプラントに向いている方や、そもそもショートインプラントとはどんなものなのか、詳しくご紹介します。
目次
ショートインプラントとは
ショートインプラントとは、一般的なものよりも短いインプラントです。
一般的なインプラントは長さが10mm程度ですが、ショートインプラントは8mm以下。ちなみに、長いものでは12mm〜18mm程度のロングインプラントもあります。
インプラントの長さは、骨の高さや厚みによって使い分けます。
インプラントと骨の量
インプラントを埋めるには、十分な骨の高さや厚みが必要です。骨の高さや厚みがないと、インプラントが上顎の上にある空洞(上顎洞)に突き抜けてしまったり、下顎の神経を傷つけたりする危険があります。
骨の高さや厚みが足りない場合には、上記のようなリスクを避けるため、一般的には「骨再生治療」を行って骨を増やしてからインプラントを埋めることになります。
ショートインプラントが向いている方
ショートインプラントは次のような方が向いています。
- ・骨の高さや厚みが不足している方
- ・身体が大きな負担に耐えられない方
- ・できるだけ治療期間を短くしたい方
- ・治療のストレスを少なくしたい方
インプラントの長さが違うだけで、一般的なインプラント治療と比べて様々な違いが生まれてくるのです。
ショートインプラントのメリット
ショートインプラントのメリットは、大きく5つ挙げられます。
- 1. 余分な手術を減らすことができる
- 2. 心身への負担が少ない
- 3. 治療期間が短い
- 4. 経済的な負担が少ない
- 5. 角度を調整しやすい
では、一つずつ説明していきますね。
余分な手術を減らすことができる
インプラントを埋めるだけの骨が足りない場合、骨再生(骨造成)の治療が必要となります。
骨再生治療は、骨に人工の補填材などを入れて、今ある骨に結合させて骨を増やす外科手術です。
そのためインプラントのみの治療よりも大がかりになりますし、身体への負担も大きくなります。
ショートインプラントなら、骨が不足していても骨再生治療をすることなく埋め込むことが可能なので、手術をひとつ減らすことができます。
心身への負担が少ない
骨再生治療をする場合には、術後の腫れや痛みなどもあり、これがストレスになる方もいらっしゃいます。手術が苦手な方や恐怖心のある方には手術自体が大きなストレスとなるでしょう。
ショートインプラントなら骨再生治療をしないため、身体や心への負担も軽減できます。
治療期間が短い
骨再生治療をしないで済むということは、単純に考えてもその分の治療期間が短くなるということです。
骨再生治療をする場合は、補填材を入れてから結合を待ち、骨が十分に出来上がってからインプラント治療に移ります。
インプラントの治療期間に加えて通常4〜5ヶ月プラスされるのですが、ショートインプラントの場合はこの期間がないため、治療期間全体をかなり短縮できます。
経済的な負担が少ない
ショートインプラントを選択した場合、骨再生の外科手術がなくなりますので、経済的な負担が減ります。
骨再生治療にはGBR、サイナスリフト、ソケットリフトなどの種類がありますが、費用は5万円〜15万円です。
骨再生治療をするのとしないのとでは、経済的負担の差はかなりの大きいですね。
角度を調整しやすい
インプラント治療が難しくなる理由の一つに、神経や血管の問題があります。
神経や血管の位置や形は、実は人それぞれ。複雑に枝分かれしている人もいれば、そんなに枝分かれしていない人もいるのです。
インプラント治療では神経や血管を傷つけないように注意しますが、複雑に枝分かれしている場合は、考慮する範囲が大きいです。
しかし、ショートインプラントなら角度を調整しやすいので神経や血管を避けやすく、その分治療も簡単になります。
ショートインプラントのデメリット
- ・場合によっては骨再生が必要になる
- ・見た目の問題
場合によっては骨再生が必要になる
骨再生治療を必要としないショートインプラントですが、骨の幅が足りない場合や極端に厚みが足りない場合には、骨再生や骨移植が必要となることもあります。
見た目の問題
骨再生治療をして骨を増やした場合、歯茎のラインが整うため見た目がきれいになります。しかし、骨を増やさずにそのままインプラントを入れると、歯茎のラインが改善されないので見た目の問題が残ることがあります。
ショートインプラントの寿命
インプラントの生存率は、スタンダードな長さのもので5〜10年で95%程度とされています。
ではショートインプラントはどうかというと、7mmのインプラントでも94%程度という結果が出ています。※
つまり、インプラントの寿命は、通常の長さとほぼ変わりません。
インプラントは一旦埋め込んでしまえば、寿命と長さは関係ないといえるでしょう。むしろ、入れた後のケアが大切です。
※参考:▶歯周病患者におけるショートインプラントの臨床的評価
ショートインプラントがあるメーカーは限られている
ショートインプラントは、希望すればどこででもできるわけではありません。
インプラントには様々なメーカーがあり、ショートインプラントを取り扱っているメーカーとそうでないメーカーがあります。
もしも歯周病などで骨が溶けてしまい、高さや厚みが足りない場合は、ショートインプラントが選択肢に入ってきますね。
希望する際は、まずはそのクリニックで取り扱っているメーカーにショートインプラントがあるかどうかを確認しましょう。
骨が足りなくてもショートインプラントという選択肢があります
ショートインプラントは、骨を増やす治療をせずにインプラント治療ができる画期的なインプラント治療です。
様々なメリットがありますが、骨再生をする治療法とショートインプラント、どちらがご自分の身体に合っているかが一番重要です。
歯科医師とよく相談して、無理のない治療を受けるようにしましょう。
- ◆この記事のまとめ
- 1.ショートインプラントは8mm以下のインプラント
- 2.骨が足りなくてもインプラント治療が可能
- 3.余分な外科手術を減らせるため、費用や治療期間、心身への負担を軽減できる
- 4.寿命は一般的なインプラントと変わらない
- 5.ショートインプラントがあるメーカーは限られている
- 6.骨を増やさないので見た目の問題が残る場合がある
- 6.場合によっては骨再生が必要になることもある