インプラント治療後にインプラントが外れてしまったら、慌ててしまいますね。
「かかりつけの歯科医院に連絡してから行くまでの間は?」
「抜けちゃったインプラントはどうすればいいの?」
など、様々な疑問が頭をよぎるでしょう。
しかし、大丈夫です。インプラント治療で豊富な経験のある当院が、応急処置の仕方をご紹介します。
まずは落ち着いて、この記事に従って行動してくださいね。
目次
1.まずはどこの部分が抜けたかを確認しましょう
インプラントは3つの構造からなっています。
- ・人工歯
- ・アバットメント
- ・インプラント体
まずは、どの部分が抜けたのかをしっかりと確認しましょう。
1-2.人工歯が抜けた
物を噛む時に直接使う人工歯(被せもの)が抜けた場合です。
誤って飲み込んだりしないように、すぐに取り除いて保管します。人工歯がポロッと抜けてしまっても、そのまま元に被せないように注意しましょう。
人工歯が外れた時点で、アバットメントがむき出しになっているはずです。そのまま食事などをすると口の中を傷つけたりするので、その部分では物を噛まないようにしましょう。
1-2.アバットメントが抜けた
アバットメントは、人工歯とインプラント体とをつなぐ接続パーツです。
アバットメントが外れたということは、その上の人工歯も一緒に取れているはずです。
どちらのパーツもなくさないように、くっついているならそのまま保管してください。
アバットメントと人工歯を合わせて上部構造と呼びますが、上部構造が取れても状態が良ければ再利用できることがあります。できるだけ外れた状態をキープしておきしましょう。
1-2.インプラント体が抜けた
インプラント体が抜けてしまった場合は深刻です。インプラント体は、通常なら骨と結合していなければなりません。それが外れたとなると、骨との結合がうまくいっていなかったか、あるいはインプラント周囲炎などによって骨が痩せてしまい、抜け落ちた可能性があります。
インプラント体が抜けてしまったら、ただちにかかりつけ医に連絡をしましょう。
受診するまでの間は、保管方法をよく読んで保管していてください。
2.抜けたインプラントの保管方法
保管する時に重要なのは、以下の2つです。
- ・衛生を保つこと
- ・破損しないこと
ティッシュなどにくるんでおくと、インプラントにティッシュがくっついてしまいますし、ご家族がゴミと間違えて捨ててしまう可能性もあります。
抜けたインプラントは、薬やアクセサリーなどを入れる小さなプラスチックケースや、ジッパー付きのビニール袋などに入れて保管しましょう。
また、抜けた直後は、くれぐれも分かるようにしておきましょう。
インプラントは天然歯とは違うので、牛乳などに入れておく必要はありません。ただ、衛生的に保管しなければならないので、洗ったりせずにそのまま保管してください(洗っている時に洗面所の排水口に落としてしまう危険があります)。
どの部分でも再利用できる可能性がありますので、大事に保管しておいてください。
- ▼保管ケースの代用品になるもの
- ・携帯用のシャンプー容器や化粧水・乳液入れ
- ・ネジやアクセサリーパーツ、薬などを入れる携帯用ケース
- ・ジッパー付き保存袋
※いずれも中を清潔にしてからお使いください。
また、ジッパー付きの袋に入れる際は、上から力を加えないように気をつけてください。変形や破損をすると再利用できなくなることがあります。
3.かかりつけ医に電話する
保管した後は、かかりつけ医に電話します。
インプラントが外れてから時間をおかず、なるべく早めに電話することが肝心です。
3-1.かかりつけ医に伝えること
かかりつけ医に伝えなければならないのは、以下の事柄です。
- ・どの部分が抜けたか
- ・抜けた時どのような状況だったか
- ・今どんなふうに保管しているか
- ・通院までの注意点を教えてもらう
できれば上記をメモなどに写しておき、漏らさずにかかりつけ医に伝えましょう。
また、気になることがあれば、些細なことでも聞いておきましょう。
3-2.できるだけ早めに予約を取る
インプラントが外れたら、できるだけ早めの日時で予約をとってください。
かかりつけの歯科医院の予約状況もあると思いますが、早く処置したほうがいい場合は緊急で対応してくれるはずです。
4.通院日までの過ごし方の注意
インプラントが外れてしまってから通院日までに時間がある場合は、以下のことに注意しながら過ごしてください。
- ・硬い食べ物はできるだけ避ける
- ・外れた部分に力が加わらないようにする
- ・手指や舌で触らない
インプラントが外れてしまった部分にうっかり負荷をかけてしまった場合、別のトラブルが発生することがあります。
5.インプラントが外れた時に絶対してはいけないこと
インプラントが外れた時に、絶対にしてはいけないのは以下の4つです。
- ・自力で元通りにしようとする
- ・別の何かを入れて穴を埋める
- ・手指や舌で頻繁に触る
- ・長期間そのままで放置する
自力で元通りに人工歯をはめようとする、インプラント体を埋入しようとする、抜けた部分に脱脂綿などを詰めるなどは、露出した部分から細菌が入って感染を起こすリスクがあります。下手をすると、細菌を閉じ込めてしまうことにもなり、後々インプラント周囲炎や口臭の原因になります。
同様に、手指や舌で頻繁に触るのも、細菌感染のリスクを高めますのでしないようにしてください。瞬間接着剤でつけたりするのももちろんNGです。
また、無理に入れようとすると、インプラントの変形や咬み合わせが変わってしまう可能性もあります。そうすると一からインプラントを作り直す必要が出てきますので注意しましょう。
ついつい後回しになって、インプラントが外れたまま長期間放っておくと、露出した粘膜の部分から細菌が入ってインプラント周囲炎になり、周辺組織や骨が溶けて、再治療をしようとしてもインプラントが埋入できなくなることがあります。
インプラントのどの部分でも、外れてしまったらできるだけ早くかかりつけ医に連絡しましょう。たとえすぐに受診できなくても、それまでの期間の対処法を教えてくれます。
インプラントが外れた時のまとめ
インプラントが外れてしまったら、慌てずに保管をして、かかりつけ医に連絡してどう対処すればいいのかを聞いてください。
もしも休院日などで連絡がつかない場合は、この記事を参考にして冷静に応急処置をしてすごしてくださいね。
- ◆この記事のまとめ
- 1.まずはどの部分が外れたか確認する
- 2.外れたインプラントを保管する
- 3.保管するのは清潔でインプラントが破損しないケースなど
- 4.ティッシュなどに包まず、わかりやすくしておく
- 5.保管できたらかかりつけ医に電話する
- 6.できるだけ早く予約をとる
- 7.通院日までは硬い食べ物は避け、触らないようにする
- 8.絶対に自力で元通りにしようとしない