「インプラントをしたいと思っているけど、副作用が心配。維持費だって年間いくらかかるのか…」
そういった不安から、なかなかインプラントに踏み出せないという方がいらっしゃいます。知らないことに対しては、不安や心配が膨らみますよね。
そこで、安心して検討いただけるよう、ここではインプラントの副作用や維持費について、詳しく説明していきます。読み終わった後は、漠然と持っていた不安が解消していることでしょう。
目次
インプラントに副作用はありません
インプラントには、基本的に副作用はありません。
インプラントに使われる金属は、チタンという種類です。チタンは金属アレルギーを起こしにくく、骨とも自然に結びつきます。他の金属のように溶け出すことがないので、比較的安全な金属なのです。
- チタンが使われている医療
- ・埋込式の人工心臓弁
- ・人工関節
- ・医療用ピアス
チタンは生体親和性が高いので、医療でも様々な場面で使われています。しかし、絶対ということではありません。中にはチタンアレルギーの発生や、骨の状態によって結合しにくいこともあり、100%とはいい切れません。
あるとすればこんなリスク
もしもインプラント治療をすることでなにかトラブルがあるとしたら、以下のようなリスクが考えられます。
- ・術後に起こる一時的な腫れやあざ
- ・下顎の神経を傷つけて麻痺が起こる
- ・初期固定が悪い
- ・インプラント周囲炎になる
手術後に起こる一時的な腫れやあざ
インプラントは骨にドリルで穴をあけて埋めるため、外科手術が必要になります。
切開して出血すると、生体反応として一時的な腫れや内出血が起こります。しかし、これは傷がついた時に起こる正常な反応です。
2〜3日すれば徐々に消えていきますが、気になるようであれば外側から冷やすのがおすすめです。
※冷やしすぎるとインプラントと骨の結合を妨げます。濡れタオルや布で包んだ保冷剤などを当ててください。
下顎の神経を傷つけて麻痺が起こる
下顎にインプラントを入れた時、骨に通っている神経をまれに傷つけてしまうことがあります。
神経を傷つけると麻痺が起こってしまうので、CTを使って神経の場所を三次元的に確認し、細心の注意を払って行います。しかし、CTにも映らないような神経もあり、これを傷つけてしまった場合トラブルとなるのです。ただし、神経が通る位置は人によって異なるため、すべての人に起こるわけではありません。
万が一神経を傷つけてしまったとしても、一時的にしびれるなどの症状がありますが、ビタミン剤やステロイド剤で神経を回復することができます。
初期固定が悪い
骨の柔らかさなどが要因となり、インプラントを埋入した直後に骨との場合があります。
通常は、ドリルより小さな穴を開けて徐々に広げていくのですが、技術が不足していると大きな穴をあけてしまうことがあります。そうするとインプラントが安定しません。
インプラント手術は繊細で緻密な治療なので、実績や経験が豊富な高いスキルのある歯科医院を選ぶのがおすすめです。
インプラントと骨が結合しない
顎の骨が少ないのに無理にインプラントを入れた場合、インプラントと骨がうまく結合しないことがあります。
顎骨の量は事前の検査で分かるので、無理なインプラントはしないのが普通ですが、量があっても骨の質が悪い場合には結合しないということが起きます。
また、ドリルに不備がある場合や、ドリルを使う時に十分な注水をしないために骨が壊死することがあります。これらの場合にも、インプラントと骨が結合しない原因になります。
歯科医院を選ぶ際には、機械や器具の管理を十分に行っているかも重要です。機器の管理が徹底されている歯科医院は、毎日のメンテナンスや感染予防対策がしっかりとなされています。
インプラント周囲炎になる
手術後のケアやメンテナンスを行わないと、インプラント周囲炎にかかる可能性があります。インプラント周囲炎を放っておくと、インプラントがグラつき、最悪の場合には脱落してしまうのです。
インプラント周囲炎を防ぐには、毎日の丁寧な歯磨きや歯間ブラシ・デンタルフロスなどによる歯間ケアと、定期的な歯科でのメンテナンスが必要です。
インプラント周囲炎とは?
インプラントを埋めている周辺の歯肉や、土台となっている骨組織が歯周病にかかる病気です。
「歯周病って歯がかかる病気じゃないの?」と思うかもしれませんね。
歯周病の原因菌は酸素がない場所を好むという特徴があります。そのため、毒素を出して歯茎を溶かしながらさらに深部へと入り込み、骨をも溶かしてしまうのです。
それだけではありません。血管に入り込んだ場合は、変化して動脈硬化を起こします。動脈硬化が起こると心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす可能性があります。
インプラント周囲炎は、インプラントをダメにするだけでなく、全身の健康にも大きく関わっているのです。
インプラントの維持費
インプラントの維持費を言い換えると、メンテナンス費用です。定期メンテナンスは数ヶ月に1度受ければよく、1回につき3000〜5000円程度が相場です。季節ごとや半年に1回などと決めている人が多く見受けられます。
インプラント治療後は、定期的にメンテナンスを受けなければなりません。もしも定期メンテナンスを受けていないとインプラント周囲炎になりやすく、かかった場合は再治療が必要となります。また、保証内に事故などでインプラントの修理が必要になった場合、定期メンテナンスを受けていないと保証が使えなくなります。
定期メンテナンスの維持費は、1年間でも1〜2万円程度。再治療や自費での修理を考えると、結果的には定期メンテナンスを受けるほうがお得ですね。
インプラントは意識の高い歯科医院を選ぶことが重要
インプラントには基本的に副作用はありませんが、技術や経験の差などからトラブルが起こることもあります。治療の前にリスクも含めた説明がきちんとされたか、治療方針について納得するまで説明があったかどうかが重要です。
もしもきちんと説明されていないようであれば、他院でも説明を聞いてみましょう。無料カウンセリングを行っている歯科医院が多いので、積極的に利用してみるのがおすすめです。
- ◆この記事のまとめ
- 1. インプラントには基本的に副作用はない
- 2. インプラントでリスクが起こる場合は下顎の一時的な麻痺
- 3. 手術後に腫れやあざができても自然に収まってくる
- 4. 検査不足や無理な治療で、初期安定や骨との結合がうまくできないことがある
- 5. 日々のケアと定期メンテナンスを怠るとインプラント周囲炎にかかるリスクが高い
- 6. 維持費とは定期メンテンスの費用のこと。年間1〜2万円