歯がなくなった時、治療法としては部分入れ歯にするかインプラントにするか迷う方も多いでしょう。実際、どちらがどのように良いのか、メリットとデメリットをそれぞれ出して比較してみないと分かりづらいですよね。そこで、この記事では部分入れ歯とインプラントを徹底比較してみました。部分入れ歯かインプラントかで迷っている方は、ぜひチェックしてみてくださいね。
目次
最終目的は「以前と変わらない生活を送る」こと
そもそも歯がなくなったときの治療の目的は、「できるだけ元通りにすること」「以前と変わらない生活を取り戻すこと」にあります。
ただ、見かけだけ歯の代わりを入れたとしても、生活の質が落ちてしまっては治療の意味がありません。
なくなった歯をもとに戻すことはできませんが、現代の歯科医療では以前の状態にできる限り戻すことが可能です。
以前と変わらない生活を送るために必要なポイント
以前の天然歯がある時と同じように過ごすために重要なことは、「同じように噛めるかどうか」です。その次に、しっくり感や以前と変わらぬ発音、ケアの手間などが挙がるでしょう。
しっかり噛むためには、噛んだ時の力を受け止めるための土台が必要です。天然歯は物を噛んで力がかかった時、顎骨がその役割を果たしています。それを踏まえた上で、部分入れ歯とインプラントのメリットとデメリットを比べてみましょう。
部分入れ歯のメリットとデメリット
部分入れ歯は、残っている健康な歯にバネをかけて義歯を支えるという治療法です。
部分的に歯がなくなった場合、ブリッジという選択肢もあります。しかし、ブリッジでは対応できないケースや、「歯を削りたくない」という場合は、部分入れ歯が選択されます。
部分入れ歯には、保険適用でできる種類と自費診療でできる種類があります。保険適用の場合にはプラスチックや金属のバネを使用します。自費診療になるとより強度の高いセラミックやジルコニア、バネも目立たない白色のものなどを選択することが可能です。
部分入れ歯のメリット
- ・治療期間が短い
- ・自分で取り外してケアできる
- ・インプラントのように外科手術を行わず一般歯科で治療できる
- ・保険適用で治療すれば費用を抑えることができる
部分入れ歯の特徴は、取り外しができることです。そのため、毎日自分で取り外して洗浄し清潔を保つことができます。また、費用相場は1本で5000円〜15,000円程度です。制作期間は1〜2ヶ月ほどで、インプラントに比べると治療期間が短いのが特徴です。
部分入れ歯のデメリット
- ・噛む力が弱い
- ・違和感を感じることがある
- ・毎日のケアが面倒(洗浄)
- ・話しにくいことがある
- ・合わなくなることがある
部分入れ歯は、慣れるまでどうしても違和感を感じるという方が多いです。馴染むまでは発音がしにくい、口内炎ができるなどのトラブルも起こりがちです。
また、部分入れ歯に限らず、入れ歯は口内の状態(歯茎下がりなど)によって数年で合わなくなることが多く、寿命も4〜5年と短いです。そのため、数年に一度は作り直しが必要となるでしょう。
インプラントのメリットとデメリット
インプラントは骨に直接人工歯根を埋めて、その上に人工歯冠を装着するという治療法です。
外科手術を必要としますが、一旦入れてしまえば他の歯にダメージを与えることがありません。
▶インプラントって何?気になる治療内容から費用までをわかりやすく!
インプラントのメリット
- ・違和感がほぼない
- ・噛む力が強い
- ・毎日のケアは歯磨き程度
- ・審美性に優れている
骨にしっかりと固定する治療法のため、入れ歯と違って違和感がなく、噛む力が非常に強いというのがインプラントの特徴です。
また、保険適用の入れ歯はバネ部分の金具が見えてしまいますが、インプラントは骨に埋めてしまうので見た目が良いというのも大きなメリットです。インプラントで使う金属はチタンという生体親和性の高いもので、人体によくなじむので安全です。
インプラントのデメリット
- ・外科手術が必要
- ・治療期間が3ヶ月〜半年程度と長め
- ・費用が高額
インプラント治療は歯茎を切開して骨に穴を開けて埋めるため、外科手術が必要になります。
全身疾患をお持ちの方や骨が足りない方は、内科医と連携をとったり骨再生治療をしたりする必要も出てきます。基本的な治療期間は個人差がありますが、おおよそ3ヶ月〜半年程度です。骨再生をする場合には、さらに治癒期間などが必要となるのでプラス数ヶ月かかります。
また、インプラント治療は基本的に自費診療となるため、1本30万円〜と高額です。
ただし、埋入後しっかりとケアしていれば、半永久的に使えるほど寿命が長いです。食べるものを選ぶ・発音しづらくなるといったこともありませんので、ずっと以前と同じように生活することができます。
部分入れ歯とインプラントの比較のまとめ
それぞれのメリットとデメリットを見てきましたが、部分入れ歯とインプラントをわかりやすく表でまとめました。
部分入れ歯 | インプラント | |
噛む力 | 弱い | 強い |
違和感 | 慣れるまでは生じることがある | ない |
見た目 | 保険適用の場合、金具が見える | 良い |
寿命 | 4〜5年 | 半永久的 |
毎日のケア | 自分で取り外して洗浄 | 歯磨き程度 |
治療方法 | 一般歯科 | インプラント専門歯科医院 |
治療期間 | 1〜2ヶ月程度 | 3ヶ月〜半年程度 |
費用 | 1本5000円〜(保険適用) | 1本30万円〜 |
治療後の定期メンテナンス | 必要 | 必要 |
部分入れ歯もインプラントも、治療後は定期的なメンテナンスに通う必要があります。どちらの治療も予後の経過やトラブルなどが起こっていないかなどを確認する必要があるからです。
インプラントは特に、口内に歯周病があると感染してインプラントがダメになってしまうことがあります。そのため、定期メンテナンスの際にしっかりと専門家による徹底的な洗浄をする必要があります。
インプラントで以前と変わらない健やかな生活を送ろう
インプラントと部分入れ歯は、それぞれにメリットとデメリットがあります。それぞれの特徴をしっかりと理解した上で、どちらがいいかを選択するのが良いでしょう。
残っている歯の本数や歯並びなどの口の中の状態は人それぞれです。全体の口の状態や経済面などを医師に相談しながら、最善の治療法をみつけてくださいね。
- ◆この記事のまとめ
- 1. 部分入れ歯は費用と治療期間を抑えることができる
- 2. 部分入れ歯は寿命が短く違和感などを生じることもある
- 3. インプラントは噛む力が強く寿命が長い
- 4. インプラントは外科手術が必要で高額
- 5. どちらの治療法も毎日のケアと定期メンテナンスが必要