虫歯や歯周病だけを治す歯医者さんと、インプラントができる歯医者さんがありますね。その違いは一体なんなのでしょうか?
この記事では、インプラントはどんな時にする治療なのかということから、治療内容や費用・期間まで、インプラントについておおよそのことが分かるように書きました。
インプラント治療を検討している方は、インプラントについて知り、不安を解消しておきましょう。
目次
インプラントとは
インプラントとは、人体の器官を代用するために埋め込む機器の総称です。しかし、インプラントといえば歯科インプラントを表すようになってきました。インプラントはなくなってしまった歯の代わりをするもので、治療すれば自分の歯が蘇ったように生活することができます。
一般の歯科医院は歯の病気を治したり、予防したりすることをメインとしています。しかし、インプラントを行う歯科は、骨格などの生体知識までを必要とする技術を有しています。
インプラントの構造
インプラントの構造は、以下の3つから成り立っています。
- ・インプラント体(あご骨に埋め込む人工歯根)
- ・アバットメント(人工歯の土台)
- ・人工歯(歯の部分にあたるもの)
アバットメントは、人工歯の土台であると同時に、インプラント体と人工歯をつなぐパーツでもあります。
インプラント体とアバットメントの素材は、主にチタンです。チタンは金属ですが、身体や骨に馴染みやすく金属アレルギーも起こりにくい素材です。
▶インプラントの相場・期間・材料などなんでも分かるQ&A|田口歯科医院
インプラントの種類
インプラントの種類は、現在世界中で100種類以上、日本で認可されているものでも30種類程度あります。中でも代表的なものは、以下のメーカーです。
- 海外インプラント
- ・ストローマン社(スイス)
- ・ノーベルバイオケア社(スウェーデン)
- ・アトランティック社(スウェーデン)
- ・ジンマーデンタル社(アメリカ)
- 国産インプラント
- ・GC(ジーシー)社
- ・京セラメディカル社
- ・松風社
日本では、上記7社のインプラントが使われていることが多いです。それぞれに特徴があり、ストローマン社は各歯医者でロット数を共有するシステムなどがあります。日本のGC社は緻密で高性能なインプラントとして、世界中でも使われています。
ブリッジや入れ歯とインプラントの違い
歯がなくなった場合の治療法については、インプラントと並んでブリッジや入れ歯があります。
どの治療法を選ぶかは、症状やなくなった本数などにもよりますので、詳しくご紹介していきましょう。
ブリッジとは
ブリッジとは、なくなった歯の両サイドの健康な歯を支えとし、人工歯を被せる治療法のことです。両サイドと連結した歯を被せた様子が橋に似ていることから、ブリッジと呼ばれています。適用できるのは1本から連続した2本程度です。
入れ歯に比べると違和感が少なく、噛む力もそこまで落ちることはありません。しかし、両サイドの健康な歯を大きく削るため歯が弱くなり、やがてはブリッジが成立しなくなって入れ歯やインプラントにする方も多いです。
入れ歯とは
入れ歯には部分入れ歯と総入れ歯がありますが、1本から連続した2〜3本を失った場合には、部分入れ歯を入れることができます。
部分入れ歯は、他の歯にクラスプというバネをかけて装着します。ブリッジと同様、クラスプをかける歯には負担がかかる上、汚れがたまって虫歯になりやすいので、クラスプをかける歯が弱くなってしまう可能性があります。
噛む力は天然歯の半分以下で、部分入れ歯の場所によっては食べるものが制限されます。入れ歯には床があるので、食べ物の味を感じることができないというのも意外と大きなお悩みになります。
歯茎下がりなど口内の変化で合わなくなることも多く、噛むと痛む、違和感が出るなどのトラブルも起こりやすいです。
インプラントとは
インプラントはなくなった歯の顎骨に埋め込むため、他の歯に負担やダメージを与えることがありません。健康な歯をできるだけ残す意味でも、優れた治療法です。
バネやフックなどがないので見た目も自然で、噛む力も天然歯と同じくらい強いです。入れ歯のように合わなくなるということがないので、痛みや違和感も感じません。
しっかりとケアすれば、半永久にもつというのもブリッジや部分入れ歯とは大きく異るところです。
インプラントの注意点
自分の歯のようにしっかりと噛むことができるインプラントですが、いくつか注意点もあります。
手術を行う
インプラントは他の歯科治療と違って、外科手術が必要です。といっても、手術の規模は抜歯と同じくらいと考えて良いでしょう。
ただし、外科の知識や手術に必要なしっかりとした設備、感染予防対策などは必須です。歯科治療の延長で行っているようなところもまだまだあるので注意しましょう。
全身疾患がある方は注意が必要
糖尿病や高血圧、心臓の病気などの持病がある方は、服用している薬や体力の関係などで、治療が難しい場合があります。
医療機関によっては断られてしまうこともあるので注意が必要です。全身疾患をお持ちの方は、必ず事前に申し出るようにしましょう。
ただ、内科のかかりつけ医と連携を取りながら治療することが可能な場合もありますので、お気軽にご相談ください。
▶全身疾患を理由に断られた方へ(リンク先記事の下のほうにあります)
治療期間が長い
インプラントは最初に歯茎を切開してインプラントを埋め込んだ後、骨と結合するまでに3〜6ヶ月程度かかります。その後、2回目の切開をして人工歯を取り付けるので、人によっては1年程度かかることもあります。骨との結合には個人差があるからです。
※骨量が不足している場合は、骨再生治療をするため、さらに期間がのびます。
治療期間だけ見るとブリッジや入れ歯に比べてかなり長いと感じるかもしれません。しかし、今後の人生数十年の健康を支えるための1年と思えば、それほど長くないと言えるでしょう。
定期的なメンテンナンスが必要
インプラントは治療後も定期的なメンテナンスが必要です。インプラントは虫歯になることはありませんが、周辺組織が歯周病にかかりやすいからです。
日々のケアは他の歯と同じようにブラッシング程度で十分ですが、6ヶ月に1回は定期メンテナンスを受け、細菌数の計測やプロによる徹底的なクリーニングを行う必要があります。
インプラントの費用
インプラントは健康保険が適用されません。そのうえ手術をするので、一般的な歯科治療よりも高額になります。費用相場は30〜50万円程度です。
保険がきかない自由診療ということと、取り扱うインプラントシステムなどが異なるため、歯科医院によって総額はまちまちです。
格安インプラントについて
世の中には1本10万円以下という格安インプラントもありますが、そういったものは以下のようなことが理由となってトラブルの元になります。くれぐれも気をつけましょう。
- ・CT機器を使った精密検査をしていない
- ・治療計画をきちんと立てていない
- ・外科的な専門知識がない
- ・インプラント治療の設備が整っていない
- ・感染対策がされていない
- ・インプラント治療の保証制度がない
- ・治療後の定期メンテナンスがない
- ・経験や技術が不足している
- ・人工歯は金属と限定されている
インプラントは生涯の健康を維持できる治療法
ブリッジや入れ歯は保険がきき、安い費用で治療できますが、健康な歯まで弱くしまうので経年のうちには使えなくなることも多いと言わざるを得ません。しかし、インプラントはケアにさえ気をつけていれば、いつまでも使うことができます。
噛むことは全身の骨や脳の健康を維持し、老化を遅らせることができます。歯がなくなってもインプラントなら、それを叶えることが可能です。
健康な歯を1本でも多く残すために、インプラントはおすすめです。
- ◆この記事のまとめ
- 1. インプラントは人工歯根を骨に埋め込む治療法
- 2. インプラントには多くの種類がある
- 3. ブリッジや入れ歯は他の歯にダメージを与える
- 4. インプラントは独立して機能する
- 5. インプラントは外科手術が必要
- 6. 全身疾患がある場合は注意が必要
- 7. 格安インプラントには要注意