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インプラントはスクリュー固定とセメント合着のどっちがいいの?

インプラント治療は以前よりもだいぶ浸透し、ご希望のメーカーや上部構造(人工歯)について調べて来られる患者様もいらっしゃるようになりました。

上部構造をスクリュー式にするか、セメント式にするかで迷われる方も多いです。先日も、どちらがどういいのかというご質問がありました。

そこで、ここでは上部構造の固定方法について、詳しくご紹介していきます。ご自分の治療内容をより詳しく知ることができれば、安心して治療を受けられ、修理の必要があった際にも対応しやすくなるでしょう。

 

インプラントの固定方法

インプラントの固定方式には、大きく2種類あります。ひとつはスクリュー方式、もうひとつはセメント合着方式です。

インプラントの構造は、フィクスチャーと呼ばれるインプラント体アバットメントと呼ばれる支台クラウンと呼ばれる歯冠の3つのパーツからなります。フィクスチャーとアバットメントはネジで固定されますが、アバットメントとクラウンの固定方法は、今回テーマにしている2種類になるというわけです。

それぞれの特徴やメリット・デメリットについて、詳しく説明していきますね。

 

スクリュー固定とは?

上部構造をネジで固定する方法です。インプラント体に空けたネジ穴(アクセスホール)に、チタン合金のネジを留め、上からコンポジットレジンという素材を詰めて穴を塞ぎます。

 

スクリュー固定のメリット

スクリュー固定のメリットとしては、以下の4点が挙げられます。

  • 1.メンテナンスが容易
  • 2.被せもの自体を清潔に保てる
  • 3.ネジが緩んだ際の締め直しが容易
  • 4.インプラント体そのものへのダメージを軽減できる

 

1.メンテナンスが容易

インプラントはインプラント周囲炎という歯周病のような病気になりやすいのですが、もしもインプラント周囲炎になった場合は炎症した部分を洗浄・清掃する必要があります。

その際、被せもの(人工歯)をつけたまま超音波やブラシなどで洗浄・清掃するよりも、被せものを取って行ったほうが、より汚れを取り除くことができます。

▶インプラントでかかる歯周病「インプラント周囲炎」とは?

 

2.被せもの自体を清潔に保てる

スクリュー固定の場合、コンポジットレジンを取り除いて上部構造を外すことが容易で、被せものを外してインプラントの周囲をしっかりと洗浄・清掃することが可能です。

定期メンテナンスでもメリットがあります。インプラント周辺組織の状態確認や、インプラント体だけでなく被せもの自体の洗浄が直にできるので、衛生を保つことができるのです。

 

3.ネジが緩んだ際の締め直しが容易

インプラントはネジの緩みが生じることがあります。ネジが緩んだまま放置しておくとインプラント体にかかる力が強くなり、インプラントが破損する原因になります。さらに、咬み合わせが悪くなるので他の歯にダメージがあったり、頭痛やめまいなどの不定愁訴を起こしたりすることがあるのでよくありません。

スクリュー固定ならネジを締め直すのが簡単なので、時間的にも経済的にも負担が少なくて済みます。

 

4.インプラント体そのものへのダメージを軽減できる

インプラントに必要以上に過度な力が加わった場合、インプラント体の破損を防ぐことができると考えられます。インプラント部分に強い力が加わった際、スクリューが緩むことでインプラント体が直接受けるダメージを緩和することができるのです。

 

スクリュー固定のデメリット

スクリュー固定のデメリットは、主に穴を塞ぐ際に使うコンポジットレジンです。

インプラント体に穴を開けてスクリューで留めた後、それを埋める形でコンポジットレジンという素材で埋めます。このコンポジットレジンは歯科用のプラスチックなので、どうしても経年変色する可能性があるのです。

また、プラスチックは長年使うことで摩耗もしてきます。摩耗した場合は咬み合わせが徐々に合わなくなってくることがあります。

ただ、コンポジットレジンのみ交換することはとても簡単なので、変色や摩耗した場合は新しく埋め直せば問題ありません。

 

セメント合着とは?

上部構造をセメントで固定する方法です。セメントといっても歯科用の接着剤と考えていただければイメージしやすいでしょう。

セメント合着の場合は接着剤で被せものを完全にくっつけてしまうので、一度くっつけたら歯科医師でも外すことはできません

 

セメント合着のメリット

一番のメリットは、アクセスホールという穴がないため審美性に優れているということです。

インプラントは自分の歯のようにきれいな見た目が特徴ですが、セメント合着はさらに天然歯のような見た目を再現しやすいです。特に前歯や横の歯(臼歯)など見た目が大切な場所には適しています。

上部構造の作りがスクリュー固定のように込み入っていないので、数本のインプラントを口の中に埋め込むような場合にはインプラント同士の並行を保ちやすいという利点があるのも特徴です。

 

セメント合着のデメリット

セメント合着の最大のデメリットは、被せものを外せないということです。外せないということは、インプラント周囲炎になって奥の方の洗浄が必要になった場合には、被せものを壊さなければなりません

こうした問題を解決するために、セメントの改良も進んできました。なかにはメンテナンスの観点から、仮止め程度に留められるセメントも登場しています。こういったセメントを採用すれば、上部構造を壊さずに外すこともできるようになりました。

ただし、仮止めしている場合はいつ上部構造が外れてしまうか分からず、すぐに外れてしまうケースがあります。反対に、仮止めのつもりで設置しても長い年月が経つと外れなくなったというケースも報告されています。

そのため、セメント合着のインプラントはインプラント周囲炎を予防するために、日頃からのセルフメンテナンスや定期メンテナンスがさらに重要です。

 

インプラント固定方法は個人の状態によって選択するのがおすすめ

スクリュー固定とセメント合着は、それぞれにメリットとデメリットがあります。どちらが良い、悪いというのは医師でも意見が割れるところです。インプラントを埋入する位置や本数、さらにはインプラント周囲炎になりやすさなどを総合的に考慮した上で、どちらにするかを選択することになるでしょう。

歯科医師は様々なことを多角的に考えて、最適な提案をします。できるだけご希望に添うような治療を心がけていますが、中には治療的観点からご希望に添えないこともできないこともございます。その際には、十分に説明してご納得いただくようにしていますので、分からないことがあれば、何でもお気軽にご相談ください。

 

◆この記事のまとめ
1. スクリュー固定とはネジで上部構造を固定すること
2. セメント合着とは接着剤で固定すること
3. スクリュー固定は容易に外せるのでメンテナンスしやすい
4. スクリュー固定は清潔を保ちやすい
5. スクリュー固定はインプラント体へのダメージを緩和できる
6. セメント合着は一度くっつけたら医師でも外せない
7. セメント合着は審美性に優れている
8. セメント合着を外す場合は壊すしかない