「インプラントをするために受診したけど、通院のたびにクリーニングされるのは納得がいかない」
「インプラントを希望したのに、今虫歯の治療をしているのはなぜ?」
「治療が済んだのに、これから定期的にメンテナンスを受けるよう言われた。それって必要なの?」
インプラントを希望したのに、治療前や治療後に色々されることが多いと、「ぼったくられているのではないか?」と心配になりますね。確かに、残念なことに、中には患者さんが分からないことをいいことに、不必要な施術を行うところもあるようです。
そこで、この記事では一般的にインプラントの治療前後に行うことをご紹介しています。
この記事で分かること- ・インプラント施術後に行う検査内容
- ・インプラント施術前に行うクリーニング
- ・インプラント施術後のチェック項目
- ・インプラント施術後の定期メンテナンスの内容
- ・良いクリニックの選び方
インプラント治療の前後に何をするのかをしっかりと知っておけば、疑心暗鬼や不要な施術を知らずに受けてしまうのを防げますよ。ぜひ最後までお読みくださいね。
目次
1. インプラントの治療前に行うこと
まずは、インプラントの施術前に行うことについて説明していきますね。
1-1. 診断・検査
インプラントを希望する場合、歯の根が残っているか、残っていないか、あるいは骨の状態はどうかなどを調べる必要があります。
●CT撮影:骨の状態や血管・神経の位置などを立体的に調べる
●診察:歯の根の有無や虫歯、歯周病の有無を調べる
●問診(カウンセリング):全身疾患の有無や服用している薬はないかなどを聞く
1-2. 虫歯や歯周病の治療
虫歯や歯周病が口内のどこかにある場合、そのまま治療すると感染する恐れがあるので、先に虫歯や歯周病を治します。
「インプラントの治療をしにきたのに先に虫歯や歯周病を治されてしまった」というのはこういった事情があるからなのです。
1-3. 抜歯
歯の根が残っている状態ではインプラントを入れることができないので、歯の根が残っている場合は抜歯をします。
1-4. クリーニング
インプラントは骨に直接埋め込みますが、少しでも細菌が一緒に入ってしまうと細菌感染を起こし、インプラントが骨に定着しません。
そればかりか、骨に細菌感染すると骨が溶けてインプラントが抜け落ちてしまう可能性もあります。
インプラントの寿命を守るためには、クリーニングは必須です。
クリーニングの主な内容は以下のものです。
- ・歯垢 ・歯石取り ・除菌 ・消毒
歯石は2〜3週間もすると発生してしまいます。そのため1度目の診察から2度目、3度目までの間が長い場合は、通院のたびにクリーニングすることもあります。
2. インプラントの治療後に行うこと
問題なくインプラントの施術が終わっても、油断は禁物です。インプラントの施術後には、以下のようなことを行います。
- ・縫合部のチェック
- ・腫れや出血、神経に異常がないかどうかのチェック
- ・感染予防の抗菌薬投与
- ・定期メンテナンス
一つずつ詳しく説明していきますね。
2-1. 縫合部のチェック
縫合部が緩んでいないかどうかのチェックです。インプラントの施術は歯茎を切開し骨に穴をあけます。
縫合がしっかりしていないと傷口が治りにくい・インプラントがしっかり固定しないなどのトラブルが生じるため、縫合部のチェックは欠かせません。
もちろん、医師は慎重を期していますが、いくら慎重にやってもやりすぎるということはないのです。
2-2. 腫れや出血、神経に異常がないかどうかのチェック
上顎にインプラントを入れた場合は、鼻血や鼻詰まりがないかどうかチェックします。上顎は上顎洞という空洞にがすぐ上にあり、傷つけたりすると出血する可能性があるからです。
下顎にインプラントを入れた場合は、下の歯茎や顎の内側の腫れや血液が溜まっていないかどうかチェックします。
また、下顎のすぐ下には大きな神経が通っているため、しびれがないかどうかもチェックします。もしも施術後に感覚がおかしい場合は、ビタミン剤などを投与します。大抵の場合は薬剤投与で収まりますが、収まらない場合は神経の専門科を紹介することがあります。
2-3. 感染予防の抗菌薬投与
インプラント施術後は、細菌の感染を予防するために3〜4日抗菌剤を投与することがあります。
骨の再生手術や移植手術などを行った場合には、期間がもう少し長くなります。
2-4. 定期メンテナンス
インプラント治療後は、半年に一度位のペースで定期的にメンテナンスする必要があります。
定期メンテナンスをする理由は、以下のような目的があるからです。
- ・インプラント周囲炎を防ぐため
- ・予後を管理するため
また、定期メンテナンスを受けていないと保険が使えないので要注意です。定期メンテナンスをしっかり受けていないと、何かトラブルがあったときに「治療後の管理を怠っていた」とはみなされてしまうからです。
定期メンテナンスでは、インプラント事態のチェックや細菌検査、クリーニングなどを行います。
3. 良いクリニックの選び方
実は、歯科医師免許があればインプラントを専門的に学んでいなくても治療できるということを知っていますか?
以前はこういったクリニックが多く、トラブルが多発して問題になりました。現在ではそのようなことは随分と減ってきましたが、やはり良い医師のいる良いクリニックで治療を受けたいですよね。
良いクリニックの選び方のポイントは、以下の4つです。
- ・インプラントについて学んだ専門医が常駐している
- ・矯正専門医など他の治療に精通した医師がいる
- ・CT検査を行っている
- ・定期メンテナンスの重要性をしっかり把握している
また、疑問や不安があれば、セカンドオピニオンを使うことができます。セカンドオピニオンとは、他院の医師に意見を聞けるシステムです。
医師はそれぞれ方針や考え方が違うので多角的な意見を聞くことができます。セカンドオピニオンを使って現在の治療を相談すれば、今行っている治療の妥当性などを知ることができ、疑問が解決したり、より安心して治療を受けたりすることができますよ。
まとめ
インプラント治療には事前の検査やクリーニング、治療後にはトラブルを予防・回避するために様々なことが必要だということがおわかりいただけたかと思います。
もし、少しでも疑問があるようなら、遠慮せずに担当医に聞いてみましょう。担当している医師も、患者さんがより安心して治療を受けるためにはコミュニケーションが必要だと思っているので、喜んで丁寧に教えてくれるはずです。
不信感を持ちながら治療をすると、後々トラブルの元になりかねません。信頼できるインプラント専門医を選び、納得した上で治療を受けてくださいね。
- ◆この記事のまとめ
- 1.インプラント施術前に行うこと
- ・診断・CT検査・問診(カウンセリング)
・虫歯や歯周病の治療
・抜歯
・クリーニング - 2. インプラント施術後に行うこと
- ・縫合部のチェック
・腫れや出血、神経に異常がないかどうかのチェック
・感染予防の抗菌薬投与
・定期メンテナンス