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インプラントはアレルギー体質でもできる?安全性と治療後のリスク



「アレルギー体質だけど、インプラント治療はできるのかな?」

「もし、治療中にアナフィラキシーショックが起きたらどうしよう」

アレルギー体質の方は、どんなことがきっかけとなりアレルギー反応が起こるのか心配ですね。インプラント治療に関しても、不安を持たれるのは当然です。

また、普段金属のピアスやネックレスをしている方でも、インプラント治療をした際にチタンアレルギーであることが分かる例もあります。

そこで、ここではインプラントと金属アレルギーの関係について、詳しく説明していきます。インプラント治療を検討しているけれどアレルギーが不安な方は、ぜひ読んでみてくださいね。

 

1. 金属アレルギーでもインプラントはできる?

結論から言うと、ほとんどの方は金属アレルギーを持っていてもインプラント治療が可能です。

金属アレルギーで皮膚が赤くなってしまった方でも、インプラント治療では症状が出ない方も多くいます。

 

問題は、「どの金属アレルギーを持っているか」です。

インプラントで使われる金属は、チタンです。チタンについて、少し説明しますね。

 

2. チタンの安全性

チタンは金属の中でも少し特殊です。というのも、他の金属と比べると熱や水分で溶けにくく、比較的人間に優しい金属だからです。

そのため、医療の現場でも多く使われていて、骨折した時に使う人工プレート埋込型人工心臓などもチタン製です。

さらに、チタンには以下のような安全性があります。

  • ・チタンは耐食性に優れている
  • ・チタンは骨との親和性が高い
  • ・チタン合金の精度は向上している


ひとつずつ詳しく説明しますね。

 

2-1. チタンは耐食性に優れている

先程、チタンは溶けにくいと述べましたが、チタンの表面は強力な酸化物で覆われているため硬く、不動態金属と呼ばれています。

不動態金属は汗や唾液などに触れても溶け出しにくい性質を持っていて、チタンの他にアルミニウム、ニオブ、クロムなどがあります。

ちなみに、「ニオブ」という金属は、金属アレルギーの方向けの結婚指輪などにも使われています。

 

2-2. チタンは骨との親和性が高い

チタンは骨を形成するための成分にとても良く似た性質を持っているため、骨との親和性が高いです。

類似体液中においてチタン表面には骨の無機成分と類似したりん酸カルシウム相が形成される(「生体材料としてのチタンおよびチタン合金(日本歯科医師会雑誌63(9)87-88 2010)」より引用)


つまり、チタンは骨の組織の代わりとして働き、骨と結合してしまうのです。無機物の金属なのに、身体と結合してしまうというのは不思議ですね。

 

2-3. チタン合金の精度は向上している

体内に埋め込む場合に使われるチタンはチタン合金というもので、チタンにアルミニウムニオブという金属が6〜8%程度混ざっています。純正チタンにわざわざ他の金属を混ぜるのは、強度をアップするためです。

昔のチタン合金は、バナジウムやニッケルが混ぜられていました。しかし、体内に溶け出しやすくアレルギーを引き起こしやすいことから、1980年代以降は現在の安全な調合のチタン合金が主流となっています。

もし、インプラント治療を受ける際に不安な時は、「そのインプラントに使われているチタン合金は、バナジウムやニッケルが混ざっていますか?」と質問してみるといいでしょう。

 

3. 金属アレルギーが起こる理由

金属自体はアレルゲンではありません。金属アレルギーが起こるのは、金属が汗や唾液などの液体に溶け出して体内タンパク質と結びついた時です。

タンパク質と結びついた金属は金属イオンを発生します。その際、体内が「異物」と感じて、異物を排除するためにアレルギー反応が起こるのです。

しかし、先述したようにチタンは溶けにくいため、その心配がほぼありません。

 

4. 金属アレルギーで起きる症状

チタンの安全性についてはおわかりいただけたかと思いますが、それでも中にはチタンアレルギーを持つ方もいらっしゃいます。もしもインプラント治療後にアレルギー症状が出たら、インプラントを除去して様子を見ます。

チタンアレルギーが起こると、以下のような症状が出ることがあります。

 

4-1. 全身の湿疹

金属アレルギーの初期症状として、皮膚に湿疹ができることがあります。できる場所は口周りとは限らず、手足や腹、背中などにも出ます。そのため、インプラントが原因とは気づきにくいことがあります。

 

4-2. 口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん)

口腔扁平苔癬とは、唇や舌、頬の内側、歯茎などに炎症白っぽいレース状のものができる疾患です。

治療法としては、ステロイド軟膏の塗布、ビタミンAの飲み薬などが用いられます。患部の範囲が小さい時は、切除やレーザー治療で治ることも多いです。

 

4-3. 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

膿疱とは、最初は皮膚に小さな水疱ができ、中身がだんだん粘性を持った膿になってくる疾患です。一般的に、手の平や足の裏などによく出ますが、かゆみがあるのた特徴です。

治療は口腔扁平苔癬と同様にステロイド軟膏やビタミンAの内服です。

 

5. 不安な方はパッチテストを希望してください

当院ではインプラント治療前に金属アレルギーがあるかどうかお聞きしますが、不安な方には事前にパッチテストを行っています。

パッチテストでは、チタンだけではなく他の金属へのアレルギーがあるかどうかも調べます。

というのも、元々チタンにはアレルギーを持っていなくても、他の金属にアレルギーがあるとチタンにもアレルギー反応を示す確立が高まってしまうことがあるからです。

チタンアレルギーについて 1500 名の患者を調べた Sicilia らの報告では、インプラント埋入患者のチタンアレルギー率は 0.6% となっている。一方、チタン以外の金属にアレルギーをもつ場合、チタンに対する陽性率は 5.3% と高くなっている。(「インプラント術前検査としてのチタンアレルギー検査の意義(日本口腔検査学会雑誌, 7(1): 31-34)」より引用)


研究の結果からみても、実際インプラント治療後のチタンアレルギーの発症は0.6〜1.7%と低いものですが、可能性が少しでもある場合はパッチテストを受けたほうが良いでしょう。

 

6. まとめ

インプラントに使うチタンは、比較的アレルギーを起こしにくい金属です。

しかし、何事にも絶対、100%ということはないので、不安な場合は担当医に相談し、パッチテストを受けるなどして安心してから治療に臨むことをおすすめします。

 

◆この記事のまとめ
1. チタンはとても硬く、体内で溶けにくい
2. チタンは骨への親和性が高い
3. インプラントで使うチタン合金に混ざる金属も溶けにくいものを使っている
4. 金属アレルギーは金属とタンパク質が結合して金属イオンになるから
5. チタンアレルギーかどうかは事前のパッチテストでわかる