インプラント治療は手術が必要と聞いて、大きな手術をしなければならないのではと考えていませんか?
1晩家を開けるとなると、小さなお子さんを抱える主婦や親御さんの介護している方などは、代わりの人を探さなければなりませんね。
家のことや仕事など、色々と調整しなければならないので、インプラント手術で入院するかどうかは大きな問題です。
ここでは、インプラント治療の際の入院の有無や手術工程について、詳しく解説していきます。
目次
1. インプラント埋入手術の工程
インプラントの埋入には歯茎を切開するための手術が必要ですが、入院の必要はありません。
インプラント埋入手術には1回法と2回法があるのですが、それぞれどんな工程で行うのか詳しく説明していきますね。
1-1. 1回法の手術工程
1回法では、1回目の手術で歯茎を切開し、歯科用ドリルで骨に穴を開けてインプラントを埋め込みます。この時、インプラントの頭頂部の一部を歯茎から露出しておきます。
後日、インプラントと骨が固定したのを確認したらアバットメント(人工歯の接着パーツ)を装着します。
手術中は手術する部分だけにかける局所麻酔を使用するため、痛みは感じません。
1-2. 2回法の手術工程
2回法では、1回目の手術で歯茎を切開し、歯科用ドリルで骨に穴を開けてインプラントを埋め込みます。この時、歯茎を完全に閉じて手術を終了します。
インプラントが骨に固定したら、2回目の手術で再び歯茎を切開し、インプラントの頭頂部だけ露出させてアバットメントと人工歯を装着します。
つまり、1回法と2回法の違いは歯茎を切開する回数によるものですが、どちらも局所麻酔なので入院の必要はありません。
全身麻酔は意識が回復するまでに時間がかかりますが、局所麻酔は意識があるまま行えるので、当日に帰宅することができるのです。
2. 静脈内鎮静法でインプラント埋入手術を行う場合
手術恐怖症の方や手術に不安がある方、パニック障害などがある方は、静脈内鎮静法という方法を用います。点滴から鎮静剤を少しずつ入れながら手術を行うものです。
静脈内鎮静法も全身麻酔とは異なり、手術が終了した時点で点滴を中止すれば、意識がはっきりするので当日に帰宅できます。
静脈内鎮静法は点滴をしている間も完全に眠った状態ではないので、質問すれば答えられます。ただし、不安や恐怖が取り除かれ、手術中の記憶は残りません。
静脈内鎮静法について詳しく知りたい方は、こちらもお読みください。
▶︎ウトウトしている間に手術終了?インプラントの”静脈内鎮静法”とは
2. 入院が必要なケース
インプラントの手術は基本的に入院の必要はありませんが、中には入院が必要なケースもあります。
- ・重度の全身疾患があり入院が必要な場合
- ・骨移植など大規模な手術で全身麻酔が必要な場合
- ・病気などで大量出血の可能性がある場合
- ・極度の歯科治療恐怖症で全身麻酔が必要な場合
- ・事故など別の理由で入院が必要な場合
一般的な街の歯科クリニックには入院施設がないため、全身麻酔が必要な場合などは入院施設が整っている病院でインプラント手術をします。
2-1. 入院不要でも入院設備がある病院で手術をするケースも
健康保険が適用されるインプラント治療の場合は、入院が必要なくても入院設備のある病院で治療することが条件となっています。
- 健康保険適用のインプラント治療の条件
- ・歯科または歯科口腔外科を標榜している医療機関であること
- ・歯科または歯科口腔外科にかかる5年以上の経験及び当該療養3年以上の経験を有する常勤の歯科医師が2名以上配置されていること
- ・当直体制が整備されていること
- ・20床以上の入院設備を持つ病院であること など
上記のようなことが定められているため、治療を受けられる病院は入院設備があるような大学病院などに限られるのです。
ちなみに、健康保険適用でインプラント手術が受けられるのは、生まれつきの疾患や病気、事故で顎の骨の1/3以上を失っている方などです。
3. 入院なしでも手術後に注意すべき点
先ほど述べたような特別な事情がない限りは、基本的に入院は必要ありません。
ただし、当日帰宅できるとしても、インプラント手術の後は注意しなければならないことがあります。
なぜなら、手術後は麻酔がまだ効いている状態ですし、歯茎を切開しているので傷口が閉じていないからです。
3-1. 自分で運転して帰らない
手術後はまだ麻酔が解けきっていないので、車やバイク、自転車などを自分で運転して帰るのは避けましょう。
当日来るときは電車やバス、タクシーなど公共機関を使ってください。
3-2. 1〜2時間は食事を控える
インプラント手術をした後は、まだ局所麻酔がきいています。麻酔が効いたまま食事をすると、力の加減がわからず口の中に思わぬ怪我をする可能性があります。
また、麻酔が切れた後は傷口が痛んで硬いものは噛めないので、しばらくはおかゆやポタージュ、柔らかく煮たうどんなどを食べるようにしましょう。
3-3. 当日の入浴はシャワーのみにする
湯船に浸かると全身の血流がよくなり、手術した場所に出血や腫れを引き起こす原因になります。
血流が良くなると痛みが増す可能性もあるので、手術した当日の入浴時はシャワーのみにしましょう。
3-4. 術後1週間は激しい運動を控える
激しい運動も湯船に浸かるのと同じで血流をよくします。局所麻酔が切れた状態で体を動かすと、振動が歯に伝わって痛みを感じる可能性もあります。
その他出血や腫れ、炎症が起きやすくなるため、手術当日から数日は激しい運動を控えましょう。
3-5. 術後1週間はアルコールを控える
アルコールも全身の血流をよくするものです。インプラントを埋入した場所が炎症を起こして腫れたり出血したりする元になるため、1週間程度はお酒は控えましょう。
3-6. 処方された薬を指示通りに飲む
手術後は、痛み止めと化膿止めが処方されます。薬は医師の指示通りに飲みましょう。
化膿止めは勝手にやめると感染症を引き起こす可能性があります。きちんと飲むことで、痛みや腫れ、感染症を予防することができます。
3-7. タバコの本数を控える
タバコはインプラントの大敵です。手術後の傷の回復が遅くなるほか、インプラント周囲炎というインプラント特有の病気にもかかりやすくなります。
できれば禁煙するのが望ましいですが、いきなり止めるのが難しいなら本数を減らしましょう。
4. もしも痛みが強い場合
手術後にもしも痛みが強い場合、特に痛みがだんだん強くなるようなことがあれば、至急担当医に連絡しましょう。
痛みが強くなる場合は、なにかトラブルが起こっている可能性があります。数日経っても痛みがおさまらない場合は、我慢せずに連絡してください。
また、痛み止めが合っていない場合もあります。そういった場合は別の痛み止めを処方できるので、相談してみましょう。
まとめ
インプラント手術は、基本的に日帰りで行うので入院の必要はありません。
ただし、手術した当日はすぐに日常生活に戻るのではなく、ゆっくりと休養することを心がけましょう。
当日に安静にすることが、インプラントと骨をしっかりと固定し、傷口が早く回復することにつながりますよ。
- ◆この記事のまとめ
- 1. インプラント手術は基本的に入院が不要
- 2. なかには入院が必要なケースもある
- 3. 入院が必要なのは全身疾患のある方や全身麻酔が必要な方
- 4. 手術後は注意事項を守り安静にする