インプラントをより長持ちさせたいと思う方は、どんな歯ブラシを使ってケアすればいいのかに大変興味があることでしょう。
たしかに毎日のケアを正しく行っていれば、インプラントを長持ちさせることが可能です。インプラント周囲炎の予防もできます。
しかし、ケアの方法を間違えてしまうと、インプラントにかえってトラブルを招いてしまいます。
磨き方によっては、歯肉を傷つけて歯茎下がりを起こし、インプラントを露出させてしまうからです。
ここでは、インプラントのケアにおすすめの歯ブラシと、使う際の注意点について詳しくご紹介します。
目次
1. インプラントのケアにおすすめの歯ブラシの種類
なぜ音波歯ブラシや超音波歯ブラシがいいのかは、他の歯ブラシと比べてみると分かります。
歯ブラシには以下の4種類があります。
- ・手動の歯ブラシ
- ・電動歯ブラシ
- ・音波歯ブラシ
- ・超音波歯ブラシ
それぞれの特徴について詳しく説明しますね。
2. 手動歯ブラシを使ったケア
1-1. 手動歯ブラシのメリットとデメリット
通常の歯ブラシでインプラントをケアする場合のメリットとデメリットは以下のものです。
- ▼メリット
- ・症状に合わせて様々な種類を選べる
- ・力加減や動かす速さを調整できる
- ・価格が安い
- ▼デメリット
- ・きれいに磨くには技術が必要
- ・磨き終わるまでに時間がかかる
手で動かす歯ブラシは、どこででも手に入りやすいことが最大のメリットですね。価格も安く、種類も豊富です。
ただ、きれいに磨くにはそれなりの技術が必要なため、使い方によっては磨き残しが出てしまいます。また、丁寧に磨くとそれだけ時間もかかります。
1-2. 手動歯ブラシを使う際の注意点
手動歯ブラシでゴシゴシと歯を磨くと、歯や歯茎を傷つけてしまいます。
手動の歯ブラシを使う時は、歯に当てた時に力を入れず、震わすように小刻みにゆすりながら磨きます。
柄の持ち方もしっかり握るのではなく、ペンを持つように人差し指と親指で挟んで軽く持つのがコツです。
3. 電動歯ブラシを使ったケア
電動歯ブラシは電動モーターの力を使って1分間に3000〜7000回もの高速回転をし、歯の汚れを削り落とします。
3-1. 電動歯ブラシのメリットとデメリット
電動歯ブラシのメリットとデメリットもみてみましょう。
- ▼メリット
- ・効率良く磨ける
- ・誰でも簡単に汚れが落とせる
- ・短い時間で磨けるので疲れない
- ▼デメリット
- ・歯や歯茎を傷つける可能性がある
- ・電池や電気がないと使えない
- ・使用中の音が気になる
- ・手動の歯ブラシより高額
電動歯ブラシは1本1本を包み込むように当てて磨くと、誰でも簡単にプラークを落とすことができます。
毛先を一定の位置に当ててスライドさせるだけできれいに磨けるのもメリットです。磨き終わる時間も短いので、高齢者や怪我などをして腕を長時間上げるのが難しい方、歯ブラシを握る力がない方にも向いているでしょう。
ただし、電力がないと使えないことや当て方を間違えると歯や歯茎を傷つけてしまう可能性があるのがデメリットです。
3-2. 電動歯ブラシを使う際の注意点
電動歯ブラシを使う際は、握るようにしっかりと持ち、毛先が軽く歯にあたる程度にします。歯ブラシのように動かす必要がないので、奥から前にゆっくりとスライドして動かします。
なお、歯を傷つける研磨剤や、発泡剤の入ったハミガキ粉は使わないようにしましょう。ハミガキ粉なしでも十分お口の中をケアできます。
4. 音波歯ブラシを使ったケア
4-1. 音波歯ブラシのメリットとデメリット
音波歯ブラシのメリットとデメリットは以下のものです。
- ▼メリット
- ・電動歯ブラシや手動はブラシより、深部のプラークが落とせる
- ・毛先が当たっていない部分の汚れも落とせる
- ・使用感に違和感がない
- ▼デメリット
- ・使い方にコツがいる
- ・使用中の音が気になる
- ・値段が高い
音波歯ブラシは、電動歯ブラシより汚れが落ちるということが研究でも明らかになっています。
Lee ら 14)はインプラント周囲粘膜炎の患者を対象に同様の研究を行った結果,2 ヶ月間の研究期間において,音波歯ブラシを使用した場合,手用歯ブラシの場合よりも 2 ヶ月でのプラークの減少量が多かったことを示した。(インプラント治療患者における電動ブラシの効果:2018.7.11より)
音波歯ブラシは電動歯ブラシと同様、使い方に少々コツがいるため、歯医者で使い方をレクチャーしてもらうのがおすすめです。
4-2. 音波歯ブラシを使う際の注意点
音波歯ブラシは水分が多いほど効果が上がるので、使用前にはブラシに水をよく含ませておくことが重要です。
5. 超音波歯ブラシを使ったケア
超音波歯ブラシは、160~200万Hzの振動数で超音波が発生します。これにより、歯からプラークを浮き上がらせるだけでなく、プラークの元となる細菌同士の結合力を低下させることができます。人が聞き取れない周波数なので使用中も静かです。
5-1. 超音波歯ブラシのメリットとデメリット
超音波歯ブラシのメリットとデメリットは以下のものです。
- ▼メリット
- ・細菌を浮かせて除去する
- ・不溶性グルカン(細菌と結合してプラークを作るタンパク質)を破壊することが可能
- ・使い心地が静か
- ▼デメリット
- ・使い方にコツがいる
- ・価格が高い
不溶性グルカンを破壊できるということは、すなわちプラークを作らせないようにすることができると言えます。ただ除去するだけでなく作らせないようにできるのは超音波歯ブラシだけです。
5-2. 超音波歯ブラシを使い際の注意点
超音波歯ブラシはプラークを落とすだけでなく、プラークの元を分解する効果もあるので歯周病の人におすすめです。
ただし、使い方を誤ると効果が出にくいので、正しい使い方を身につける必要があります。
6. まとめ
手動歯ブラシ、電動歯ブラシ、音波歯ブラシ、超音波歯ブラシのそれぞれの特徴を比べると、効果の出方に違いがあることがわかったのではないでしょうか。
インプラントを使用している方におすすめなのは、毛先が離れていても汚れが落とせる超音波歯ブラシです。さらに、インプラント周囲炎の疑いがある方は、プラークを作らせない超音波歯ブラシを使うと良いでしょう。
ただし、インプラント周囲炎はブラッシングで治すことはできません。歯医者でしっかりと治療しながら自宅でもケアを行いましょう。
- ◆この記事のまとめ
- 1. インプラントにおすすめなのは音波歯ブラシと超音波歯ブラシ
- 2. 手動歯ブラシ、電動歯ブラシは力加減を間違えると歯と歯茎を傷つけるリスクがある
- 3. 音波歯ブラシは歯に当てなくても汚れが落ちる
- 4. 超音波歯ブラシはプラークを除去するだけでなく作らせないようにする