
出っ歯であったりすきっ歯であったりすると、その見た目からコンプレックスを持ち前歯の歯並びだけ治したいと希望する人も少なくありません。
ここではインビザラインで気になる前歯だけを治すことができるのか、向いている症例についてご紹介します。
目次
インビザラインで前歯のみを治療することは可能
結論から言うと、インビザライン矯正で前歯のみを治療することはできます。
これは「部分矯正」と呼ばれており、前歯などの一部の歯並びだけを治す治療方法です。ただ、かみ合わせを整えることはできません。
そもそも矯正治療はかみ合わせを整えることが目的で、かみ合わせが整うと自然に歯並びが良くなるものです。
ただ費用面や目的によって前歯だけを治したいという方も少なくありません。
そのようなニーズに答えるために、前歯のみを治療する部分矯正も行なっている歯科医院は多くあります。
マウスピースは全体に装着する必要がある?
部分矯正でもマウスピースは歯並び全体に装着します。
これは歯に矯正力を加えるために必要なことです。ただ全体に装着しても奥歯には矯正力がかかることはありません。
抜歯の必要はない?
部分矯正では抜歯の必要はありませんが、歯を動かすスペースを作るために歯の両サイドを削って隙間をつくるIPR(ディスキング)を行うことがあります。
詳しくは以下の記事でご確認ください。全体のインビザライン矯正と流れは同じ?
全体矯正も前歯だけの矯正も治療の流れは同じです。最初にカウンセリングを経てから、精密検査を受けシミュレーションを行い、マウスピースを作成します。
装着時間も全体矯正と同様に1日22時間以上装着する必要があり、ご自身で管理しなければなりません。
なお矯正終了後の保定期間も全体矯正と同様に行います。
前歯のみのインビザラインが向いている症例
インビザラインで部分矯正を行える症例には以下のようなことが挙げられます。
|
いずれも軽度な症例であれば部分矯正で治すことができます。
軽度の凸凹した歯並び
凸凹した歯並びは専門用語で「叢生(そうせい)」と言い、歯が重なって生えている状態のことを指します。
歯が大きいのに対して顎が小さいといった先天的なものや、頬杖などの日頃の癖など後天的なものによって生じることが多いです。
重なっている本数が少なく、IPRでスペースを確保できる場合に部分矯正で治すことができます。
軽度のねじれた歯並び
専門用語で「捻転歯(ねんてんし)」と言い、ねじれて生えている歯のことを指します。
原因は歯が生えるスペースが足りないことが多く、前歯のみねじれている場合は部分矯正で治すことができます。
軽度の出っ歯
出っ歯とは前歯が前方に突出した状態のことを指します。
出っ歯の原因は顎の形態や歯の大きさなど先天的なものと、舌で前歯を押す癖や爪を噛む癖によって生じる後天的なものがあります。
部分矯正では顎の骨に問題がなく、軽度の出っ歯であれば治すことが可能です。
すきっ歯
すきっ歯とは、前歯と前歯の間の隙間が空いている状態のことで、専門用語では「空隙歯列(くうげきしれつ)」と言います。
これは生まれつき歯が小さい、本来生えるはずの歯が生えてこないなどの先天的な要素もあれば、頬杖などの日頃の癖によるものまで、さまざまな原因があります。
ほとんどの症例では抜歯の必要がないため、前歯のみの部分矯正で治すことが可能です。
前歯のみのインビザラインが向いていない症例
インビザラインの部分矯正は以下の症例で向いておらず、全体矯正が必要になります。
|
ほかにも顎の骨に問題があったり顎関節症などの影響が出たりしている方は不向きとされています。
重度の不正咬合
不正咬合とは悪い歯並びのことを指し、凸凹した歯並び、ねじれた歯並び、すきっ歯、出っ歯、受け口などがあります。
重度の不正咬合の方はかみ合わせに問題があることが多く、全体矯正でないと治すことはできません。
かみ合わせに問題がある症例
前歯だけに問題があるように見えても、実はかみ合わせに問題があるケースは多くあります。
上記でも述べたことと同様に、かみ合わせに問題がある症例では部分矯正では治すことはできないため、全体矯正が必要になります。
抜歯が必要な症例
顎が小さく歯が大きいため歯を並べるスペースが足りないといった症例では、抜歯が必要になることが多く、歯を大きく動かすため部分矯正では不向きとされています。
矯正後に前歯が後戻りをしてしまった人にもインビザラインはおすすめ
以前矯正治療を受けて前歯の歯並びが後戻りしてきたという方も、インビザラインの部分矯正で治すことが可能です。
短い期間でキレイな歯並びへ戻すことができ、なおかつ抜歯やIPRなどの処置も必要ありません。
後戻りの治療は、インビザラインの部分矯正の中でも適した症例なのです。
インビザラインで前歯のみの矯正にかかる期間
インビザライン矯正で行う部分矯正の期間は、個人差はありますが数か月~1年ほどで治療が終わることが多いです。
そのため全体矯正と比較すると期間も短く、通院回数も少なくて済みます。
なお前歯のみの矯正は後戻りしやすい傾向にあるため、矯正終了後は保定装置を期間中つける必要があります。
関連記事:インビザラインの保定
前歯のみのインビザラインの費用はいくらぐらい?
費用は歯科医院によって異なりますが、おおよそ300,000円~です。
費用面で矯正治療に躊躇していた方でも受けやすいでしょう。なお全体矯正では700,000~1,100,000円ほどかかり、比較すると安価で行えることがわかります。
インビザラインで前歯のみを治すデメリット
インビザラインで前歯のみを治す際には、以下のようなデメリットもあります。
|
かみ合わせを治すことはできない
全体矯正では歯並びとかみ合わせの改善を目的としていますが、部分矯正では奥歯を動かさないため、かみ合わせの治療はできません。
IPR後に歯がしみることがある
歯を並べるスペースを確保するために「IPR」という歯の両サイドを約0.25mm削る処置を行います。
エナメル質が薄い人や知覚過敏がある方は処置後にしみることがあります。
インビザラインを希望してもワイヤー矯正の対象になることもある
お口の中の状態によっては、ワイヤー矯正の対象になることもあります。
インビザライン矯正で難しいとされている症例には例えば、抜歯が必要な歯が多い、重度の凸凹した歯並びや出っ歯、受け口、骨格に問題があるなどです。
ご自身の歯並びがインビザライン矯正でなおかつ部分矯正に対応できるかどうかは、歯科医院での検査が必要になります。
そのため受診する歯科医院はワイヤー矯正も行なっているところを選択すると良いでしょう。
まとめ
インビザライン矯正では、軽度の症例であれば気になる前歯だけを治すことも可能です。
全体矯正と比較すると期間・費用を抑えることができます。ただ、抜歯が必要なケースや、重度の不正咬合、骨格に問題がある方は部分矯正では対応できない可能性もあります。
まずはご自身の歯並びがインビザライン矯正の部分矯正で治せるのか歯科医院に相談してみると良いでしょう。
こちらの記事もおすすめ:インビザライン矯正の治療の流れについて【詳しく解説】