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「歯石」がついているとインビザライン矯正に影響はある?

こんにちは田口歯科医院です!

歯石がついていると歯や歯ぐきにさまざまな悪影響を及ぼします。今回はインビザライン矯正中に歯石がついていると、どのような悪影響があるのか解説します。

 

目次

歯の表面に付着する汚れとは?

インビザライン 歯石

「歯石」「歯垢」など聞いたことがある人も多いですが、両者の違いなど詳しく知っている方は少ないです。

まずは歯垢について詳しく触れていきましょう。

歯垢はプラークとも呼ばれており、歯につくネバネバした白い塊のことです。その正体は細菌の塊で、1gの歯垢の中には100億~1,000億の細菌が生息していると言われています。

その中にはむし歯菌や歯周病菌が棲んでおり、歯磨きを怠ると細菌たちは食べかすなどに含まれている糖分を餌にして酸を出します。

この酸が歯の表面のエナメル質を溶かし、むし歯になるのです。また、歯ぐきの中に歯周病菌が入ると歯ぐきに炎症を起こして歯周病になります。

次に歯石について詳しく触れていきましょう。

歯石とは歯垢が石化したものです。歯についた歯垢をそのままにすると、唾液の中にあるカルシウムとリンが結びついて石灰化します。

歯垢が歯石になるまでの期間は、早い人で2日程度で石灰化が始まり、2週間程度で歯石になると言われています。

なお、歯石になると細菌は死滅するためむし歯や歯周病の原因になることはありません。

しかし、歯石は軽石のように無数に穴が空いて、表面はザラザラしているため、そこに歯垢がつきやすいです。

 

インビザライン中に歯石がつくと、どんな悪影響がある?

インビザライン 歯石

インビザライン矯正中に歯石がついてしまうと以下のようなトラブルが起きてしまう可能性があります。

いずれも治療計画通りに進まなくなり、治療期間が延びてしまうことも。

 

  • 歯の移動を妨げてしまう
  • マウスピースが浮きやすくなる
  • むし歯や歯周病になるリスクが高くなる

 

 

歯の移動を妨げてしまう

歯石は非常に硬く、歯磨きでは除去できないくらい強固についているため、矯正力をかけても歯が動かないことがあります。

例えば、IPRで隙間を作ったところに歯石がついてしまうと、それにより歯の移動を妨げてしまうなどです。

このような場合、計画通りに進まなくなり、治療期間が長くなってしまう可能性があります。

 

マウスピースが浮きやすくなる

マウスピースは歯と密着するように作られているため、歯石がついていると邪魔になって浮いてしまう可能性があります。

浮いたまま使用すると歯が動かなかったり、計画通りに進まずマウスピースの作り直しが必要になったりすることもあります。

 

むし歯や歯周病になるリスクが高くなる

歯石の上には歯垢がつきやすい状態です。

歯垢はむし歯や歯周病の原因になるため、歯石がついているとそれらのリスクは高くなります。

インビザライン矯正中にむし歯・歯周病になると治療を優先することもあるため、治療期間は長くなる可能性があります。

 

インビザライン中に歯石がつきやすい人の特徴

インビザライン ガミースマイル

歯石は性別・年齢に関係なくできるものですが、つきやすい人とつきにくい人がいます。
中でも以下のような唾液の質や量は歯石がつきやすい傾向にあります。

 

  • 口腔内がアルカリ性に近い
  • 量が多い
  • さらさらしている

アルカリ性に近い

平均的な唾液のpHは6.8と中性に近い弱酸性です。

アルカリ性に近い唾液は、カルシウムとリンなどのミネラル成分が多くなり、これらの成分が歯垢につくと歯石になります。

しかし、アルカリ性に近い唾液は溶け出した歯の表面を修復する作用があり、加えて酸性に傾いたお口の中を中和する作用があるためむし歯になりにくいです。

 

量が多い

唾液の分泌量が多いと、必然的に歯垢につくカルシウムとリンが多くなり、歯石がつきやすくなります。

 

さらさらしている

唾液の質には、さらさらした唾液とネバネバした唾液があります。

前者は漿液性唾液(しょうえきせいだえき)と言い、酸性に傾いたお口の中を中性に保つ働きがありますが、歯垢を石灰化しやすいため歯石がつきやすいです。

なお後者は粘液性唾液といい、細菌を体内に侵入するのを防ぐ働きがあります。

 

インビザライン中に歯石がつきやすい場所

インビザライン 前歯

歯石がつきやすい場所は、唾液が分泌される「唾液腺」の近くと、歯ブラシが届きにくいところです。

加えて歯並びや歯ぐきの状態によってつきやすさは異なります。特に以下のような場所は歯石がつきやすい傾向にあります。

 

  • 下の前歯の裏側
  • 上の奥歯の表側
  • 歯並びが悪いところ
  • 歯ぐきに炎症が起きているところ



下の前歯の裏側

下の前歯の裏側は歯ブラシが届きにくく、唾液を分泌する「舌下腺」と「顎下腺」と呼ばれる唾液腺があります。

これらの唾液腺からは全体の約80%の唾液を分泌しているため、歯石がよくつきやすいです。

 

上の奥歯の表側

上の奥歯の表側には「耳下腺」と呼ばれる唾液腺があります。歯ブラシが届いていないと歯石がつきやすいです。

 

歯並びが悪いところ

歯と歯が重なっているところや、凸凹したところなど歯並びが悪いところは歯ブラシが届きにくく、歯垢が残りやすいため歯石がつきやすいです。

 

歯ぐきに炎症が起きているところ

歯ぐきが腫れて炎症が起きていると歯ぐきの中で歯石がつくことがあります。

これを「縁下歯石(えんかしせき)」といい、黒くて非常に硬い特徴があります。

縁下歯石は歯ぐきからにじみ出る組織液が歯ぐきの中にある歯垢を石灰化させてしまうため、見えないところにつきやすいです。

参考:システマ

インビザライン中に歯石除去するタイミングは?

インビザライン 歯石

インビザライン矯正中はむし歯・歯周病にならないように定期的な歯石除去をおすすめします。除去するタイミングは、治療開始前・矯正中・治療終了後です。

なお、ほとんどの歯科医院では型取りをする前に歯石除去します。

歯石がついたままだとマウスピースの形態が歯石がついた状態になり、ズレが生じたり合わなくなったりすることがあるためです。

また、矯正中は歯垢が溜まりやすいため調整日にクリーニングも同時に受けると良いでしょう。

矯正終了後はむし歯・歯周病予防に加えて、良い歯並びの状態をキープするためにも3ヶ月に1度は歯石除去することが望ましいです。

 

インビザライン中に歯石がつくのを予防する方法

歯石がつくのを予防するには、歯垢をしっかり落とすことです。ここでは自宅でできる予防法と歯科医院でできる予防法についてご紹介します。

自宅できる予防法

歯石になる前の歯垢の時点では、歯ブラシで除去することが可能です。

歯ブラシやデンタルフロスや歯間ブラシなど使用してしっかりと歯垢を除去します。特に下の前歯の裏側・上の奥歯の表側・歯並びが悪いところは念入りに磨きましょう。

 

歯科医院でできる予防法

インビザライン 歯石

歯科医院でのクリーニングを受けると歯石はつきにくくなります。

クリーニングにはスケーリングと言って歯石を除去する施術があります。

これは超音波スケーラーと呼ばれる特殊な機械を使って歯石を砕きながら除去する方法です。

また歯磨きだけでは落としきれない汚れをしっかり落としてくれるため、3ヶ月に1度はクリーニングを受けることをおすすめします。

 

まとめ

歯垢が石灰化すると歯石になります。インビザライン矯正中に歯石がついてしまうと、歯が動かなかったり、むし歯や歯周病になったりする可能性があります。

予防するには、歯垢の段階でしっかり除去することです。またインビザライン矯正中に限らず歯科医院での定期的なクリーニングも受けるようにしましょう。

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